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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【259】炭屋彌兵衛 純米吟醸 雄町(すみややへい)【岡山】

2010.9.16 17:25
岡山県真庭市 辻本店
岡山県真庭市 辻本店

【Jさんとの二人酒 全8回の⑤】 

 M居酒屋の店主は、この日5番目の酒(1種類0.5合ずつ飲んでいる)として、「炭屋彌兵衛 純米吟醸 雄町」を、Jとわたくしの前に置いた。おおっ、また岡山。そして、おおっ、また雄町ではないか。この日、岡山・雄町の酒は「十八盛」「酒一筋」に続いて3番目だ。オマチスト(雄町ファンのこと)のわたくしとしては、泣いて喜ぶ。

 ついでに、店主とこんな会話をした。

 酒蛙「雄町で醸した酒を好きな人のことをなんていうか知ってますか?」
 店主「知りません」
 酒蛙「オマチストっていうんですよ」
 店主「あははは。面白いけど、本当ですか?」
 酒蛙「わたくしの知人の新造語みたいですよ」 
 店主「あははは。気に入った。今度から、わたしもオマチストを名乗ろう」
 酒蛙「ぜひ、名乗ってください」

 さて、飲んでみる。「炭屋彌兵衛」を飲むのは初めて。初めての酒を飲むときは、心ときめくものだ。

 「う、旨いっ。酸が引き立つ。雄町的な武骨な感じは『十八盛』『酒一筋』と共通しているな。でも、わたくしがイメージする雄町を『炭屋彌兵衛』に一番感じるよ。違うかもしれないけど…。これは旨い」とオマチストのわたくしは、ヨロコブ。「旨いけど、シャープな感じがします。キレが良いね」とJ。わたくしが、「子供は酒を飲まないけど、大人の酒って感じだね。奥の奥にクラシカル香味を感じる」と言うと、Jは「酒って、奥が深いなあ」としみじみ言う。

 Jが言うのももっともだ。酸があり、すっきりした飲み口を基調としながらも、コメの旨みがうまいぐあいに絡む。吟醸香は抑えられている。これらのバランスが良いから、飲み飽きしない。飲みやすい。ちょっと飲んだだけでは良さは分かりにくいかもしれないが、飲み進めていると、良さがじわじわ出てくる。そういった意味で、奥が深いのだ。

 ところで「炭屋彌兵衛」とは風変わりな酒名だ。なぜ、このような名がついたのか。その答えは、一升瓶の裏ラベルに書かれていた。それによると、辻家は江戸時代から「炭屋」という屋号で呉服商を営んでいたが、3代目・彌兵衛篤仁が、呉服商を番頭に譲り、自らは1804(文化元)年、蔵を開いた。初代蔵元が彌兵衛だったことから、酒名を「炭屋彌兵衛」にした、という。

【備考】
この記事は2010年9月16日に初公開、その後一部加筆されました。

酒蛙