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日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【364】秋鹿 純米吟醸 歌垣(あきしか、うたがき)【大阪】

2010.12.8 18:35
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【364】秋鹿 純米吟醸 歌垣(あきしか、うたがき)
【364】秋鹿 純米吟醸 歌垣(あきしか、うたがき)

【水無月会月例会 全5回の③】

 不特定少数の飲み会・水無月会月例会の3番目は「秋鹿 純米吟醸 歌垣」だ。「秋鹿」は何種類か飲んだことがあり、酸が立ち、味がしっかりした酒という好印象を持っている。「歌垣」は初めてだ。飲んでみる。

 酒蛙「酸がある。旨い」

 女性A「きりりとした感じ。いいね」

 酒蛙「辛さと旨みと苦味がある。後味がいい」

 男性A「こういう酒っていいですね。飲み飽きしない」

 酒蛙「酸味があるから、飲み飽きしないんだ」

 男性A「だから、ついつい飲み過ぎる」

 酒蛙「すっきりした感じだが、骨格がしっかりしており、芯がある。旨い。奥に甘みもある」

 酸が立ち力強い「秋鹿」らしいお酒だった。ぬる燗でも飲んでみたが、味がふくらみ、すこしタッチがやわらかくなって、これも好評だった。

 ところで、ラベルの「歌垣」とはなんだろう。ラベルに書かれている歌はなんだろう、字が読めない。そこで、蔵に直接聞いてみた。それによると、近くの歌垣山(標高553.5m)の名をとったのだ、という。蔵の女性は、「昔、歌垣山で婚活が行われていたんですよ。おほほ」。受話器から艶やかな笑い声が流れてきた。

 蔵の女性によると、ラベルに書かれている歌は、「くらかきの里に波よる秋の田はとしながひこの稲にぞありける」。1068(治歴4)年、後三条天皇即位の大嘗祭につとめた大江匠房が主基田に指定されていた歌垣山西麓の倉垣の里を訪ねたときの歌で、「夫木和歌抄」に収録されている。倉垣は、「秋鹿」の蔵がある地名である。大嘗祭への献上米を収穫する田んぼが、豊かに実っている光景を歌ったものだろう。

 さて、歌垣山の山頂には、歌垣山の由来について刻まれたプレートがある。そこには次のように書かれている。「昔、未婚の若者は定められた日に山の頂などに集まり即興の歌を交わし、結婚の相手を決めました。これを歌垣とか■歌といいました。和銅6年(713)に上撰された「摂津国風土記」の逸文『釈日本紀』(正安2年=1301年、集大成)には『・・・・・有歌垣山、昔者 男女相集登此上、常為歌垣因以為名』と記されています」

 蔵の女性が教えてくれたように、なるほど婚活だ。それにしても、歌を詠み合って求愛するなんて、なんと優雅なことか。歌垣山は、筑波山(茨城県)、杵島岳(熊本県)と並んで、日本三大歌垣に挙げられている、という。

【備考】文中の■は、「曜」の日へんの代わりに女へん。

酒蛙

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