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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【454】旭若松 純米 無濾過生原酒 雄町100%(あさひわかまつ)【徳島】

2011.3.10 17:32
徳島県那賀郡那賀町 那賀酒造
徳島県那賀郡那賀町 那賀酒造

【武者修行編 全5回の⑤完】 

 K居酒屋での日本酒研究会自主トレは絶好調。「諏訪泉」「悦凱陣」「十旭日」「阿櫻」とお気に入りの酒を連発して飲み、場は盛り上がる一方。さらに5番目には、わたくしの好きな「与右衛門」のぬる燗を飲んだため、自主トレは最高潮に達した。

 場は「旨い」「うめぇ~」しか言葉が出てこない幼児集団と化してしまった。あ、幼児は酒を飲まないか。ま、そんなことはどうでもいい。6番目は「旭若松 純米 無濾過生原酒」だ。この酒も、K居酒屋や同研究会のホームM居酒屋で何回か飲んだことがある。

 以前、K居酒屋で「旭若松 純米 阿波丹生谷の酒 無濾過生原酒」を飲んだときのことは、当連載【70】で紹介している。

 また、今回と同じ「旭若松 純米 無濾過生原酒 雄町100%」は、M居酒屋で飲んだことがある。そのときのメモを見ると、「これは旨い。濃い。厚い。どっしり。酸強い。香らない。キレる。とにかく、旨い。ぬる燗は、味がさらにふくらみ、旨みと酸が炸裂」。まったくもってわたくし好みの酒質だ。

 さて、今回もぬる燗で飲んでみる。おっと、その前にKの儀式があった。Kは、旭若松を飲む前に、決まって「東村山音頭」(志村けん)のメロディーに乗せて「♪アサヒワカマァツゥ~♪」と歌う。今回も、忘れずにやった。「♪アサヒワカマァツゥ~♪」

 酒蛙「個性的だあ。直前の『与右衛門』が超個性的だったけど、これはまた別の路線で超個性的。個性派のあとに飲んでも、負けないなんて、こいつもすごい個性派だな」

 K 「個性派と個性派のぶつかり合いですか。わたくしには分かりません。微妙ですね」

 酒蛙「旨み、酸味が強く、ごつごつした太い骨格。苦味が出ている」

 K 「キャラクターが立っていますね」

 このKのキャラ立ち発言には、全員大笑いだ。なぜなら、そのものずばりで、これ以上ふさわしい表現がないからだ。まったくもって個性的なキャラクターだ。みんなから褒められたKは「へへへ」と照れ笑い。

 酒蛙「旨い。旨いけど苦い。苦いけど旨い。酸っぱいけど旨い。旨いけど酸っぱい」

 わたくしは、気持ちが高揚し、発言が幼児的支離滅裂。が、冷静なFはしみじみ味わい、しみじみとした口調で、ぼそりと言う。

 F 「おいしいっす。いいっすねぇ」

 ところで、わたくし個人的には、いかにも雄町らしい酒におもえた。わたくしは自称オマチスト(雄町で醸した酒が好きなことをいう造語。わたくしの酒友が考えた)。雄町で醸した酒が好きだ。が、雄町は、蔵によって、出来上がった酒が全然違うケースが多い。山田錦であれば、だいたいどのような酒質なのか予想がつくが、雄町は全然分からない。酒関係の文章を見ると、「雄町らしい香り立つ酒」「雄町らしい旨さが主張する酒」という言葉が目につく。

 しかし、わたくし的には、そのようには感じない。わたくしが上記のような酒を飲んだことがないからなのだろうが、わたくしにとっての雄町酒は「野武士のような骨太の酒」「愛想の無いシャープで芯のある酒」だ。このようなタッチの雄町酒が、わたくしは好きなのだ。今回の「旭若松 純米 無濾過生原酒 雄町100%」は、まさしく「野武士のような骨太の酒」に当たり、若干「愛想の無いシャープで芯のある酒」の要素も垣間見られる。これらを総称して、Kは、キャラが立っている、と表現したのだろう。

 あと、驚いたのは、裏ラベルの製造年月をみると「2009年3月」と印字されていた。なんと、3年寝かせた酒だったのだ。これはびっくりだ。3年寝かせると、たいていは丸くまろやかな酒になるのだが、3年寝かせてもキャラ立ちする、ごつごつ骨太の酒とは! この酒を新酒で飲んだら、果たしてどんな味がするのだろうか。おそらくは前述した、極端な「愛想の無いシャープで芯のある酒」なのではないか、と想像する。怖いもの見たさで、飲んでみたいものだ。ともあれ、オマチストとしては、十分満足できる夜となった。

 ところで、瓶の裏ラベルには、こう書かれている。「麹 徳島県産雄町、掛け米 岡山県産雄町」。雄町100%ではあるが、麹米と掛け米を産地で分けていたのだ。なぜだろう。雄町は岡山県赤磐地区が発祥の地で、岡山県産の雄町の評価が高い。はてさて、なぜ全量を岡山県産にしなかったのだろう。突っ込んでもしょうがないので、やめておく。

 わたくしたちは7番目の酒として「宗玄 純米 山田錦 無濾過生原酒」(当連載【69】参照)のぬる燗を飲む。「旭若松」とは違い、この酒はキャラが立たず、非常にオーソドックス。KとFは「いいですね」「ほっとします」と言いながら、中程度の濃醇酸味酒を味わっていた。

 わたくしたちは、7種類の燗酒を飲んで、K居酒屋を切り上げた。そして、近くにある、わたくしなじみのピアノバーに転戦。午前2時ごろまで、ハイボールを楽しんだ。

酒蛙

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