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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【468】月の輪 しぼりたて 純米 生原酒 木槽掛 袋搾り(つきのわ)【岩手】

2011.4.8 23:02
岩手県紫波郡紫波町 月の輪酒造店
岩手県紫波郡紫波町 月の輪酒造店

【二人酒 全2回の①】

 酒友Tと久しぶりの飲み会。月1回のペースで飲んでいるが、昨年の12月から、お互いの日程が合わず、やっと4カ月ぶりに飲むことができた。場所は、いつものH居酒屋。時間が止まったような緩いまったり空間で、気の合う仲間と仕事の話抜きでのんびり飲むのは、最高のぜいたくだ。

 まず最初に飲んだのが「亀甲花菱 純米 生原酒 豊醇 旨口」(当連載【187】参照)。最初はすっきり系の酒を飲むつもりだったのだが、はずみで、この酒を選んでしまった。典型的な濃醇酸味フルボディー酒。トップバッターよりは4番バッターとして起用した方が、チーム全体のバランスにとっていいのだが、なぜか頭ではなく体がこの酒を選んだ。

 いきなり4番バッターを飲んだため、次の選手起用に困る。いろいろ考えた結果、あまり落差がないだろう「月の輪 しぼりたて 純米 生原酒 木槽掛 袋搾り」を選んだ。激変緩和を狙ったわけだ。

 一方、酒友Tは、「月の輪」ではなく、「笑四季 アンタイド 緑ラベル 純米酒 無ろ過生原酒」(当連載【439】参照)を選んだ。

 さて、「月の輪」である。以前、「月の輪 特別純米」を飲んだことがある(当連載【25】参照)。その酒は、とろりとした、甘酸っぱく素朴な味わいの酒だった。今回は、同じ純米だが、はるかにグレードアップしていた。

 まず、冷酒で飲んでみた。オリが入っている。おりがらみだ。含む。おもわず「旨いっ!」。感動の言葉が弾けた。濃醇でコメの旨みがたっぷり。甘みがややとんがっており、酸もある。余韻の苦味がいい。濃いけれど、シャープな感じ。それでいて、口あたりはまろやか。香りは控えめ。骨太で存在感がある。なかなか良いではないか。

 続いて、ぬる燗にしてみる。これは、店主やTにも味わってもらった。

 店主「あーっ、酸が来る」

 T 「いいね~。これ、いい」

 酒蛙「やわらかい。舌にピリッとくる刺激がある。酸を感じ、旨みが広がる」

 T 「旨みが残るとき、甘さを感じる。やっぱり燗酒はいいなあ」

 店主「甘さがあります」

 酒蛙「食中酒に、非常に向いている。厚みがあって、旨甘酸っぱい。いいなあ」

 ところで、社名・酒名の「月の輪」の由来はなんなんだろう。蔵のホームページをのぞいたら、以下の説明文が掲載されていた。

 「源頼義、義家父子が厨川の柵に安部貞任を攻略に来た時に3万2千の軍団を偵察のため宿営させたのが現在の蜂神社にあたる場所で、蔵の近くにあります。義家は兵士、兵馬のための飲料を得るために池を掘ったそうです。たまたま9月15日の月夜に源氏の旗に描かれた日月が池に写り、金色に輝いたといい、これを見た将軍頼義は兵士一同に『これ厨川柵攻略の吉兆なり、直に進軍せん』と命を下し、17日には厨川を陥落させました。後に陸奥守鎮守府将軍藤原秀衡がこの池を訪れ、その吉兆の話を聞いて池を円形に修理しその中に太陽と三日月を模った島を作ったのが今に残されており、これを『月の輪形』と呼んだと伝えられています。現在この『月の輪形』は紫波町の史跡に指定されております」

 わたくしは、半生のエイひれをあぶったものをアテにしながら、この、歴史ある名の酒を飲んだ。

 大震災で、岩手県は、大きな被害をこうむった。わたくしにできることは、岩手県の酒を飲むことだ。応援しよう、岩手県を。

酒蛙