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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【556】宙孤 かすみ純米(ちゅうこ)【岡山】

2011.7.26 23:07
岡山県美作市 田中酒造場
岡山県美作市 田中酒造場

【仕事飲み二次会 全4回の④完】

 同業他社との仕事の打ち合わせのあと、懇親。一次会も二次会も酒をたっぷり飲んでの懇親。ウイスキー無し、ビール無し、ワイン無し、焼酎無しという酒オンリーの懇親。好ましい。いい。

 二次会はなじみのM居酒屋。1つ目は「英君」。2つ目の「新政 やまユ」と3つ目の「醸し人九平次」で、その旨さに狂喜乱舞卒倒逆上昇天する。そして、店主が最後の4番目に持ってきたのが、この「宙孤」だった。

 わたくしをはじめ、誰も「宙孤」を知らない。ラベルも名も見たことがない。そもそも、読み方も知らない。そんなことを言ったら、店主は、「ふふっ、これは『ちゅうこ』と言うんですよ」と関西弁を色濃く残した言葉で教えてくれた。興味津々でいただいてみる。

 旨い。しっかりした旨味。まったりしたタッチで、やさしい感じ。おおっ、これは最初に飲んだ「英君 特別純米 袋吊り雫」(当連載【553】)とずいぶん似たタッチのお酒ではないか。わたくしの知らないところに、なかなかいい酒があるんだなあ。酒の世界は奥深い。

 そもそも「宙孤」って、何だ? この疑問に、瓶の裏ラベルがこたえてくれる。「宙孤は中国山地の奥深く、岡山県美作で限られた数量を昔ながらの製法を守り丁寧に醸したお酒です。宙孤とは『きつね火』の岡山県山間部に伝わる別称で、豊作と良いことが起きる前兆だと伝えられています」。狐火だったのだ。

 ところで、表ラベルに俳句が載っている。

「たましひの たまゆらゆるむ 宙孤かな」

 お酒の宙孤を飲んだらちょいと気持ちが和らいだよ、という意味なのだろうか。なかなかいい句ではないか。飲兵衛の心を切り取った句だとおもう。

 そして、おもった。「宙孤」の代わりに、自分の好きな酒の銘柄を入れると、自分に合った句になる、と。そう気づいて、自分の好きな銘柄を入れてみた。なるほど、いい感じだ。今後、折に触れ、使わせてもらおうっと。

 ところで、岡山県美作市は剣豪宮本武蔵生誕の地。120余年の歴史を持つ田中酒造場のメーンブランドは、武蔵にあやかって「武蔵の里むさしのさと」。「宙孤」は新しい商品銘柄だ。

酒蛙