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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【685】黒牛 槽口 無濾過生酒 原酒 純米 中取り(くろうし)【和歌山】

2012.1.8 19:17
和歌山県海南市 名手酒造店
和歌山県海南市 名手酒造店

【日本酒研究会月例会 全3回の②】

 気の合う友人たちとの飲み会。名付けて日本酒研究会。毎月1回の月例会を欠かさず続け、足掛け6年になる。なんてったって、酒の研究に熱心な仲間たちのこと、どんな困難に直面しても、研究会だけは、きちんと開く。その情熱たるや、半端じゃない。…などと言っても、研究とは飲むこと。深い意味はない。

 研究会例会場のM居酒屋の店主は、この月、「風の森 雄町純米 しぼり華 無濾過無加水」をトップバッターに起用した。この酒は個性的な酒質ゆえ、2番目にどんな酒が出てくるのだろう、とわたくしたちは注目していた。店主は、2番目の酒をあらかじめ決めていたみたいで、躊躇せず、すぐ持ってきた。それが、今回の「黒牛 槽口 無濾過生酒 原酒 純米 中取り」だった。さっそくいただく。

 酒蛙「まったり旨みがある。酸味もある。うめ~~~っ!!!」

 S 「いいっすね~~っ!」

 F 「いいっすね~~っ! 私の好きな要素がすべてミックスされ、入っている」

 酒蛙「これも、微発泡のシュワシュワピチピチ感がある。フレッシュ感がいっぱいだあ。香りは抑え気味」

 J 「直前に飲んだ『風の森』より、こっちの方がグッと厚みがあるなあ」

 F 「なんだろう、この旨みは。旨みが凝縮されている感じ。すごいなあ」

 酒蛙「シュワシュワピチピチ感と、麹くささ、コメくささがナイス。温度が上がると甘みも出てくる」

 S 「濃いけど、くどくなく、ベタリ感は無い。キレが良い」

 酒蛙「フルボディだ。力強い。厚みあり、コクがある。飲み応えがある」

 J 「すごく力強い。酸味が持続する」

 S 「酸味が残り、あとから甘みがくるような気がする」

 F 「う、う、旨いっ!」

 さすが、店主。「風の森」でわたくしたちを驚かせ、さらに「風の森」に負けない、存在感のある「黒牛」を繰り出すなんて! よく考えたものだ。中途半端な酒を出したのなら、直前に飲んだ「風の森」に負け、あえなく敗退していたところだった。

 さて、3番目は、「与右衛門 特別純米 無濾過生原酒 直汲み」(岩手県、当連載【390】参照)。「黒牛」とはまた、まったく違う路線の個性派だ。個性の強い酒が次から次へと繰り出されてくる。これは面白い。

 酒蛙「与右衛門って、ニガサン(苦酸)のイメージが強いね」

 J 「そうだ、ニガサンだ。そして、すっきり感があるイメージだ」

 S 「このお酒、いわゆる『与右衛門』ですね」(Sは、わたくし以上の与右衛門の大ファンなのだ)

 酒蛙「ニガサンにセメダイン香(酢酸イソアミル系の芳香)も与右衛門の特徴・個性だね」

 J 「あたし、あなたをニガサン(逃がさん)! なんちゃったりして」

 一同「あははは」

 ここでJは中座し、次の会合へと転戦する。残ったメンバーによる研究会は佳境に入る。店主が4番目に持ってきたのは、「山吹極 生酛純米無濾過原酒 上級者向食中酒」(山形県、当連載【150】参照)だった。完熟酒である。たまたま、アテにトリ手羽先が出ていた。これを食べてから「山吹極」を合わせたら、熟成感が無くなり、すっきりした酸味酒に変わったから驚きだ。

 続いて、店主が5番目に持ってきたのは、「醸し人九平次 別誂 純米大吟醸」(愛知県、当連載【370】参照)だった。この酒は、M居酒屋で時々口にする、非常に完成度の高い酒。一堂、感動しながら飲む。

 ところで、これらの酒を飲んでいるとき、「モーコ軍」の話題で、ひとしきり盛り上がった。

 Sが出し抜けに「私の父親が職業野球の『モーコ軍』を好きだったんですよ」と言ったものだから、Hとわたくしは「モーコ? ん? ウランバートルのモーコか? 朝青龍のモーコか? 元寇のモーコか? そんな野球チームがあったっけかなあ」とハテナマークの嵐。

 これを解明しなければ落ち着かない。ということで、わたくしが頼りにしている、私設歩くデータベースに電話し、調べてもらう。その結果、蒙古軍ではなく、猛虎軍だったのだ。しかし、これを契機に、話は日露戦争、ノモンハン事変など近代日本の歴史に及び、いつになく、真面目な議論で盛り上がった。

酒蛙