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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【691】浪花正宗 特別純米(なにわまさむね)【大阪】

2012.1.17 19:21
大阪府阪南市 浪花酒造
大阪府阪南市 浪花酒造

【3人酒 全2回の①】

 酒友のKとNが、わたくしと飲むため、遠路はるばるやってくる、という。なじみのT居酒屋の席をとり、午後6時スタートの段取りをつけていた。が、当夜、仏事が入った。仏事に出なければならないため、2人は「先に飲み始めていてね」と連絡、2人から了解を得た。

 ところが、だ。お坊さんが来ない。仏事が始まらない。早く2人に合流しなければ、と心の中で焦りながら、仏事の開始を待つ。お坊さんは、およそ40分遅れであらわれた。前代未聞の大遅刻だ。ということで、わたくしが2人に合流したのは午後8時。2人はかなり出来上がっていた。

 まず、居酒屋の冷蔵庫をのぞいてみたら、飲んだことのない酒が1本、入っていた。それが「浪花正宗 純米」だった。瓶を見せてもらう。近年、酒とはおもえないモダンなラベルが多い中で、伝統的というか、オーソドックスというか、古典的というか、そんなラベルが、妙に新鮮で好ましい。ラベル上部にある「天下無敵之清酒」が笑える。また、肩ラベルは「入魂一滴」。天下無敵に入魂一滴。う~ん、熱いなあ。濃いなあ。

 が、飲んでみたら、濃くはなかった。酸が強く、さらっとしたさわやかな飲み口。厚みと旨みがやや抑えられている、すっきりしたタッチ。香りも抑えられ、非常に飲みやすい。食中酒に非常に向いている酒質だった。淡白な刺身から、コテコテの肉まで、幅広い料理に合いそうだ。KとNも「おっ、これ、いいじゃないすかあ」と驚く。

 蔵のホームページによると、「すっきり辛口。切れ味が良くて飲み飽きしない」とのこと。まさしく、そんな感じの飲み口だった。

 また、ホームページによると、このお酒の原料米は「日本晴」。おお、懐かしい品種だあ。というのは、「日本晴」は、かつて日本で一番多く栽培された飯米(ごはん用米)で、その座をコシヒカリに奪われるまでの1970年から1978年の9年間、作付面積が日本一の品種だった。その印象が強かったから懐かしさが込み上げてきた、というわけだ。が、酒米にも使われているとは知らなかった。

 次に飲んだのは「獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」(当連載【637】参照)。これはKが「年賀」として、T居酒屋の主人に持ってきたものだ。わたくしが「とろり、まったり、旨みたっぷり、酸もあり、非常に旨い。もともと旨い酒だが、あらためて旨いとおもう」と感想を述べたら、Kは「うれしい限りです」。

 その次に飲んだのは、「鍋島 生もと 純米 雄町」(当連載【615】参照)。濃醇酸味のフルボディー系で、濃くて、甘旨酸っぱい飲み口。わたくしの大好きな酒なので選んだが、この酒を初めて飲んだKは、真顔で「これ、やばいっすよぉ~」と叫ぶ。旨すぎて飲みすぎる恐れがある危険酒、という意味での「やばい」である。若者言葉だ。Kは立派な肥満タイプの中年だが、話すのは若者言葉…。

酒蛙

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