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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【728】日高見 本生原酒 吟醸うすにごり(ひたかみ)【宮城】

2012.2.29 19:21
宮城県石巻市 平孝酒造
宮城県石巻市 平孝酒造

 晩酌のため、ふらりとH居酒屋に入ったら、店主が「『日高見うすにごり』が入りましたよ」と話しかけてきた。見ると、冷蔵庫に清楚な感じの瓶が鎮座している。

 店主はこのところ、「日高見」に入れ込んでいる。始まりは「日高見 震災復興酒 希望の光 純米 絶対負けない石巻」(当連載【512】参照)だった。東日本大震災の際、日高見蔵は、大きな被害を受けた。その際、生き残った醪をブレンドして搾ったのが、その「希望の光」だった。復興支援のためにその酒を入れた店主は、続いて「日高見 純米初しぼり 感謝の手紙 生酒」(当連載【702】参照)を入れた。再興なった蔵で初めてしぼったお酒だ。そして、今回の「日高見 本生原酒 吟醸うすにごり」が、再興2番目にしぼったお酒だという。

 飲む前に写真撮影だ。しかし、これが予想外に苦戦した。白いラベルに、白抜き銀地。わたくしは、色を忠実に再現したいため、ストロボを光らせないで撮影している。いつものようにそうしたが、銀地のテカテカが、著しく反射して、字がちゃんと写しこめない。苦し紛れに、禁じ手のストロボを照射したが、今度は銀地が黒く写ってしまい、「白+銀」という清楚さと繊細さが表現できない。

 角度をさまざま変えてみても駄目だ。大苦戦していたら、店主がボソっと言った。「レフやったら?」。おおおっ、そうだ、そうだ、その手があった。さっそく、カレンダーの裏の「白」の上に瓶を置いた。すると、どうだ。ストロボを光らせなくても、ちゃんと撮れるではないか。さまざま角度を変え、余計な反射が一番少ないコマで完成とする。その間、店主はずっとカレンダーの裏の“レフ板”を押さえておいてくれた。写真1枚撮るのにも、苦労するのだ。さて、いただく。

 酒蛙「吟醸香がフッと入り、旨みが膨らむ。ちょっと強い感じ。余韻にすこし、辛さと苦味があるね。コメの香りがする」

 店主「ジュースっぽい。まろやかさと辛さがある。フルーティーだね」

 酒蛙「うすにごりにしては、シャープな飲み口で、面白い」

 店主「はい、ずいぶんシャープです」

 ここで、わたくしはぬる燗を提案する。店主は「やめといた方がよろしいんじゃないすか?」と制するが、燗にできない酒は無い(発泡系以外)、が持論のわたくしは、無理を願ってぬる燗をつけてもらう。

 店主「酸っぱい。酸が出ますね」

 酒蛙「酸もそうだけど、旨甘辛いっ!」

 店主「そうそう、旨甘辛がグワっとくる。分かりやすい表現です」

 酒蛙「余韻の辛さがずっと残る」

 店主「はい、余韻がすごい。余韻は、辛さのほかに甘みもある。ううっ、辛い。冷やのときとは、えらい違いだ。酒飲みの人は、燗が向いているかも」

 酒蛙「冷やも燗もいいよ」

 店主「キレが良い。ふつうの人は絶対に燗にしないだろうな。蔵元さんも燗では飲んでいないとおもうよ」

 酒蛙「燗もなかなかいいなあ」

 薄く白くにごったお酒、一部銀地の白ラベル、そして白抜き文字。すべて白系。淡雪をおもわせるトータルデザイン。「うすにごり」を最大限おいしく見せるデザイン力に感服した。味はもちろん第一条件だが、目に訴えるトータルデザインも大事だな、とおもわせるお酒だった。

 ラベルをみると「精米歩合50%」と表示されている。このお酒は「吟醸」と銘打っているが、50%というとスペック的には大吟醸クラスだ。ラベルの原材料表示は「米・米麹・醸造アルコール」だけ。原料米の品種を表示してもらいたいなあ。

酒蛙

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