メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【750】神亀 山廃仕込 純米 上槽中汲(しんかめ)【埼玉】

2012.3.27 19:08
埼玉県蓮田市 神亀酒造
埼玉県蓮田市 神亀酒造

【K居酒屋にて 全4回の④完】

 酒友「オタマジャクシ」との飲み会。年上のわたくしが「蛙」なら、年下の彼は「オタマジャクシ」。彼は最近、そう名乗っている。飲み会の場所は、なじみのK居酒屋。ここではわたくし、ずっと、燗酒しか飲んでいない。

 「天遊琳 手造り 純米 直汲み生 伊勢錦2009」「宗玄 漲 特別本醸造 無濾過生原酒」「奥鹿 生酛 山田錦60 無濾過生原酒」と3種類の酒を燗で飲んだところで、ちー女将のYちゃんが、一升瓶を抱えてきて「三代目(店主)が酒蛙さんにぜひコレを飲んでいただきたい、ということです」。見ると、「神亀 純米 上槽中汲」。「なあんだ、これ、定番のお酒じゃないか。大好きだよ。何回も飲んでいるよ」とわたくしが答えたら、Yちゃんは「ふふふっ、それとこれは違うのよぉ」と言うではないか。

 よく見たら「神亀 山廃仕込純米 上槽中汲」。おおおっ、これは山廃だったんだ。「神亀 純米 上槽中汲」の山廃を見るのは初めてだ。逆上して「うん、飲む飲む飲む」の、飲む三つ返事。

 ラベルの小さな字を見たら、「室温、または冷やしてお飲み下さい。敬白」と書いている。う~む、飲み方を指定する押し付けがましさは嫌だ。そもそも、わたくしは「燗にできない酒は無い」が主義で、このK居酒屋ではすべて燗酒を飲んでいる。だから、この酒も燗で飲むことにした。だいいち、「神亀 純米酒 上槽中汲」(当連載【133】参照)の燗映えが抜群なのは知っている。だから、この酒も断固、燗で飲むことにした。

 酒蛙「わっ、うめぇ~」

 オタマジャクシ「これまでのお酒と比べ、タッチが全然違いますね」

 酒蛙「酸っぱ! 旨い! コメの旨みがたっぷりふくらむのに、軽快なタッチで、キレが非常に良い。後味も酸。余韻に苦みがすこしあり、さらにいい。温度が下がってきたら、さらにコメの旨みが濃厚に出てきた」

 酒蛙「山廃でないものと飲み比べてみたいなあ」

 ちー女将「そうですねぇ~、素敵ですね~。でも、きょうは無いのよぉ~。残念ですね~」

 じっさい、とても残念だった。「神亀 純米 上槽中汲」はいつでも飲めるが、「神亀 山廃仕込 純米 上槽中汲」は、めったに飲めない。だから、ぜひ飲み比べをしたかった。

 わたくしの記憶(あまりアテにならないが…)をもとに、味を比べてみると、この両者はかなり違う味におもえた。

 従来の「神亀 純米 上槽中汲」は、どっしり厚みがあり、コメの濃厚な旨みが爆発的にふくらむ。旨みは複雑で、甘みも感じられる、というイメージ。

 一方、「山廃」は、旨みはたっぷりあり、太い芯が通っているが、厚みは従来のものよりやや少なく、軽快感とシャープさを感じる。そして、全体として、上品できれいな酒質、というイメージ。

 ああ、飲み比べをしてみたい。

 わたくしたちは、5番目の酒として「隆 純米吟醸 若水五拾五 無濾過生原酒 仕込み27」(当連載【431】参照)を飲み、6番目の酒に「宗玄 純米 山田錦 無濾過生原酒」(当連載【69】参照)を飲む。

 そして、歩いて、なじみのMスナックに移動。焼酎の水割りを飲みながら、日付変更線を越えて零時半までカラオケを楽しんだ。

酒蛙