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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【764】亀萬 純米(かめまん)【熊本】

2012.4.10 19:31
熊本県葦北郡津奈木町 亀萬酒造
熊本県葦北郡津奈木町 亀萬酒造

【M居酒屋にて 全5回の①】

 せんだっての日本酒研究会(単なる飲み会)で、“鹿児島県初の日本酒”というふれ込みの「幸寿 霧島山麓天然酵母仕込み 鹿児島限定 棚田米純米酒」をいただいた。

 鹿児島県には日本酒の酒蔵は無いが、鹿児島県のコメ、鹿児島県の水、そして鹿児島県の酵母を使い、熊本県の亀萬酒造でつくってもらったものを“鹿児島県初の日本酒”とし、地元の名産に育てている。

 その話を聞いたわたくしは、なんとしても飲みたくなり、日本酒研究会の会場にしているM居酒屋の店主に「ぜひ購入して、研究会の例会に出してほしい」とお願い。こうしてわたくしたちは、“鹿児島県初の日本酒”を飲むことができた。

 そのとき店主から「一緒に亀萬酒造のお酒も購入したんですよ」と聞き、こりゃ、そのお酒も飲まなきゃいけない、と燃え、研究会の翌々日、一人でネオン街に繰り出した。

 いきなりM居酒屋に行かず、まずはT居酒屋に入り、「酔鯨 純米吟醸 吟寿」(当連載【58】参照)、「墨廼江 限定純米 中汲み」(当連載【311】参照)、「裏鍋島 純米吟醸 生 隠し酒」(当連載【199】参照)を飲んで、体調を整えてからM居酒屋に繰り出した。

 めざす「亀萬 純米」は、化粧紙に包まれていた。つまり、まだだれも飲んでいなかったのだ。わたくしが封開け。なんだか申し訳ない。

 いただいてみる。熟成香がある。そして、旨酸っぱくてキレが良い。ふくよか、まろやかでコクがある。アテの鶏の手羽先と合わせたら、熟成香がいなくなった。古酒を飲んでいるイメージ。というより古酒そのもののだ。余韻は酸。店主にも飲んでもらう。店主も「はい、これ、古酒ですね」。古酒ファンにはたまらない酒質だ。

 古酒そのものの飲み口なのだが、ラベルに印字されている蔵出し日は2012年2月。なぜ? 非常に、非常に興味深い酒質だった。

 蔵のホームページでは、この酒を「米・米麹だけを原料にした日本酒古来の製法に基づくコクのある純粋なお酒です」と紹介している。むむむ、日本酒古来の製法とは何なんだろう。

 これについて、蔵のホームページでは以下のように説明している。

 「かつては、甑(こしき)という大きな蒸し器で米を蒸した。この工程も機械化される蔵元が多い中、亀萬酒造では、いまも和釜に甑をのせて米を蒸し、技の伝承を図っている。蒸しを担当するのは『釜屋』。昔は湯気のたちこめる甑にふんどし1本で入り、分司(ぶんじ)で蒸米をすくう姿が絵になったものだ。酒の種類がふえ、それぞれに細かい造りが要求される現在、蒸米を作る釜屋の責任は、いよいよ重くなっている。良し悪しを左右する米の吸水加減、、蒸気の抜け加減、すべてに気を配ってベタ飯にならないようにする。『水分過多のおにぎりを作らないように。ここは蒸米を作っているところですから』、求める状態の蒸米に仕上げていく」

 また、日本最南端の醸造元があるのは沖縄県だが、亀萬酒造のホームページでは「創業1916年、天然醸造では日本最南端の日本酒の醸造元です」と、誇らしげに記述している。

 ところで、酒瓶のラベルに書かれている「THE QUINTESSENCE」が気になった。正直に言って、意味が分からなかった。英語力の無さを痛感、嗚呼。そこで、手元に置いている英和辞書を引いてみた。意味は「エッセンス、真髄、典型」。はて、この場合は、どれなんだろう。「真髄」かな?

 「天然醸造では日本最南端の日本酒」という話題性のある蔵の酒だが、原料表示は「米、米こうじ」とそっけない。使用米の品種や産地を知りたいところだ。

酒蛙

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