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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【837】呉春 特吟(ごしゅん)【大阪】

2012.7.7 9:08
大阪府池田市 呉春
大阪府池田市 呉春

【全3回の①】

 土曜日の夕方。ふらりとN居酒屋へ。晩酌というより、夕食をとるため。ここの皿うどんは、本場・長崎と同じもので、なかなか美味い。わたくしは、これを食べながら酒を飲むのが好きだ。

 ただ、前回は、皿うどん目当てで行ったのに品切れでがっくり。品切れとなると、無性に食べたくなるのが人の性で、今回、敗者復活戦のつもりでN居酒屋の暖簾をくぐった。

 ところが、である。今回も皿うどんは売り切れ。なんということだ。かといって、じゃ帰る、ともいかない。酒を飲むことにする。冷蔵庫に「呉春」がある。「呉春」を見るのは久しぶりだ。ということで「呉春」を選択する。

 酒蛙「軽めで酸が強く出る。やわらかめで、すっきりした飲み口。余韻にすこし苦みがある」

 女将「いろんな味が出てくるお酒ね」

 酒蛙「吟醸だけど、あまり吟醸香は強くない。香りをかなり抑えており、隠し味的に香りがある。食中酒にいい。旨みが適度にある。肩の凝らない、いい感じのお酒だ」

 皿うどんが品切れで、いささかムッときたわたくしだったが、旨い酒を飲むとすぐに機嫌が良くなるとは、いささか単細胞ではある。

 皿うどんが無いので、しょうがなく、目の前の大皿にどっさり乗っている「豆腐のステーキ」なる面妖な料理をアテに酒を飲む。

 わたくしが「呉春」を褒めたら、女将がこんなことを言った。「西では“西の十四代”と言われているのよ」。わたくしは「へーーーっ! それは知らなかった。でも、十四代とは全然タッチが違うけどね。比べることに無理があるよ」と反応する。ま、女将は“西の人”だから、素直に聞いておく。

 ラベルでは原材料名を「米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール」と表記しているだけで、使用米の品種を明らかにしていない。品種の情報は開示してもらいたいものだ。精米歩合は50%。大吟醸並みの精米歩合だ。

 ラベルに「池田酒」と印字されているのが気になった。蔵は池田市にあるので「池田酒」と名乗るのは当たり前だが、当たり前すぎるゆえ気にはなる。

 ネットで調べてみたら、それに関する記述があるサイトを見つけたので以下に貼り付ける。

 「蔵元のある大阪府池田市はかつて伊丹とならび天下の銘醸地として知られ、元禄の昔から銘酒番付の上位を独占した町でした。

『呉春』の『呉』は池田の古い雅称『呉服の里』に由来します。また、『春』は中国の唐代の通語で『酒』を意味します。つまり『呉春』とは『池田の酒』の意味です。(中略)

 『呉春』は、小説家谷崎潤一郎が好きだった酒としても知られています」

酒蛙

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