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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【938】〆張鶴 越淡麗 純米吟醸(しめはりつる)【新潟】

2012.10.31 19:14
新潟県村上市 宮尾酒造
新潟県村上市 宮尾酒造

 新潟の会社から、仕事関係の協力要請があった。快く引き受け、すぐ対応した。ほどなく、お礼のお酒が届いた。さすが、酒どころ新潟。わたくしとしても、お菓子などより酒の方が、もらって百倍うれしい。

 包みを開いたら、出てきたのが「〆張鶴」だった。新潟県は酒造蔵の数では全国トップ。つまり、銘柄数が全国一多い。その中から、その方は「〆張鶴」を選んだわけだが、わたくしはすこし意外な気がした。わたくしにとっての「〆張鶴」のイメージは、ストイックなほど清楚できれいな淡麗酒。その酒が新潟代表として選ばれたとは…。ま、送った人の好みなんだろうな、と考えた。

 しかし、飲んでみて、わたくしの考えが浅はかだったことがすぐ分かった。非常にいい酒だったのだ。新潟代表に選ばれても何らおかしくない、レベルの高い酒だった。

 わたくしは、このお酒を常温(正確には18.5℃)でいただいた。一口飲む。まず軽快で酸がくる。飲み進める。さらり軽快だが、ふんわりした酒質で旨みもくる。味も適度にある。単なる淡麗とは違う「味淡麗」か。吟醸香はかなり抑えられている。キレは良い。余韻に酸と苦みがある。旨みと甘みと酸味のバランスがいい。飲み飽きしない。上品さと落ち着きのある酒だ。かなりいい食中酒。これまで、わたくしが持っていた「〆張鶴」のイメージを完全に覆す酒質だった。

 次に、ぬる燗にしていただいてみた。味が濃くなる。味が広がる。しっかりした味。余韻は辛さ。含み香が独特。酸も強く出る。旨みに厚さが増すが、基本は軽快。冷酒良し、燗酒良し。いやはや、この酒はいい。送り手が、新潟代表としてこの酒を選んだ理由が分かった。送った人は、なかなかの飲み手ではないか。

 この酒の原料米は、新潟県産越淡麗100%。精米歩合は50%。

 「越淡麗」は、新潟県農業総合研究所作物研究センター、新潟県醸造試験場、そして新潟県酒造組合の共同研究で開発した新しい酒米。「五百万石」と「山田錦」という二大メジャー品種を交配してつくった、という抜群の血統の良さ。すっきりキレが良い「五百万石」と、ふくらみがある味わいで華やかな香りが出やすい「山田錦」。この「〆張鶴 越淡麗 純米吟醸」は、たしかに両親の特徴を兼ね備えているお酒だとおもった。

酒蛙

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