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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【995】蒼斗七星 純米吟醸58 木槽搾り(あおとしちせい)【島根】

2013.1.6 17:32
島根県安来市 青砥酒造
島根県安来市 青砥酒造

【日本酒研究会月例会 全6回の①】

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集い、飲んだことのない酒を飲みながら「ああでもない、こうでもない」と勝手な感想を言い合う日本酒研究会。研究などというだいそれたことはまったくしておらず、単なる飲み会。カッコつけて名をアカデミックにしただけ。12月月例会は忘年会を兼ねたが、メンバーのJが仕事で参加できず、5人が月例会に臨んだ。

 M居酒屋の店主がトップバッターに持ってきたのが、島根県の「蒼斗七星 純米吟醸58 木槽搾り」。北斗七星を意識した蒼斗七星。ラベルは名の通り、7つの菱型でデザインされている。

 面白い名とラベルの酒だったため、島根県松江市出身の、仕事のパートナーのスマホにラベル写真を送ってみた。すぐに答えが返ってきた。「尼子氏のお酒ですね。青砥さんは古い氏族なんですよ」。さて、お酒をいただいてみる。

 酒蛙「酸っぱい!」

 M 「こりゃあ酸っぱいなあ」

 S 「のど越しのとき、キュッとくる」

 I 「こりゃ、酸っぱい酒だ。さわやかな酒に感じる」

 酒蛙「後味も酸味が強い。すっきりした酒質で、旨みは適度。やや芳醇。いいね♪」

 M 「ラベルが菱が7つつながってて面白いな。なぜ精米歩合が58なんだろう。ふつうは55とか60なんだろうけどな」

 酒蛙「55でも、60でも嫌だったんじゃないかなあ。このお酒、食中酒として最適だね。すっきりした飲み口で酸が強いので、量を飲めそうなお酒だ。香りは抑え気味だ。味はあるが、軽快感もあり、飲み飽きしないタイプのお酒だ」

 H首席研究員「うん、量を飲める酒だ。同感だ」

 M 「あれれ、飲み進めていたら、あまり酸っぱくなくなってきたぞ。コクが感じられるようになる」

 酒蛙「うん、確かに。酸が引っ込んで、代わりに甘みと苦味が出てきたぞ」

 M 「うん、苦味もあるね」

 H 「う~む、酸といい苦味といい、こりゃあ、酒飲みのための酒だ(注…量を多く飲める、という意味)」

 S 「料理の邪魔をしない酒だしね」

 酒蛙「飲み進めていたら、だんだん苦味が強くなってくるね」

 ラベルや酒名は、ややエキセントリックだが、酒質はいたってまとも。すっきりした酒質で酸もあるので、食中酒にもってこいの酒におもえた。酒飲み人にはうれしいお酒だった。また、わたくし、感想でも言ったが、この酒は「味はあるが、軽快感もある」というタッチの酒。このような酒質の酒が近年、ぼちぼち見られるようになってきた、とおもう。

 味のある酒は濃い酒に多い傾向で、やたらに旨いが飲み飽きし量が飲めない。また、軽快な酒は淡麗辛口酒に多い傾向だが、こちらは物足りなさを感じる場合がある。この酒のような「味はあるが、軽快感もある」酒は、濃淡中間に位置する酒のようにおもえる。なにより、すいすい量を飲めるのが、酒造業界最大のメリットである。

 瓶の裏ラベルには、「『星と星をつなげて星座を作るように、人と人をつなげ絆を深める酒』をコンセプトに生まれた蒼斗七星の純米吟醸酒です。木槽で丁寧に搾った純米吟醸酒を、『無ろ過』『無加水』『瓶内貯蔵』で商品化致しました。青砥酒造の思いを結晶させた純米吟醸酒です」と、蔵の心意気が熱く語られている。

 また、蔵のホームページをのぞくと、この酒について「厳選した島根ブランド米『佐香錦』を低温で、ゆっくりと、想いを込めて醸しました。まろやかな吟醸香と微酸が奏でる穏やかなハーモニーが、味の個性を形づくります。まずは飲んで頂きたい一本です」と紹介している。ホームページでは「微酸」といっているが、わたくしたちの舌には「強酸か、強酸に近い酸度」におもえた。

 また、蔵のホームページでは、以下の解説文も掲載しているので、以下に張り付けてみた。

      ◇

●「蒼斗七星とは」

蒼斗七星は、酒が「生まれる瞬間」と、「生まれ持った個性」を大切にする青砥酒造の思いを結晶させたお酒です。

「生まれる瞬間」のこだわりは、もろみの搾り方。

雫取りと、木槽搾りの二種類を用いています。

一方、「生まれ持った個性」とは、日本酒は本来、「香り」「旨み」「酸味」「キレ」など様々な要素が調和し、 輝きます。その個性を生かすために、「無濾過」「無加水」にこだわっています。

●「名前の由来」

青砥酒造のこだわりが詰まった酒「蒼斗七星」は、青砥酒造五代目が、初めて酒造りに関わった2009年に生まれました。

それは、仕込みタンクに、仕込み水と掛麹を入れたときのこと。

青色のタンクの中に散らばった掛麹が、五代目には宇宙で瞬く無数の星のように見えました。

“このタンクの中に宇宙がある!”このときの感動を「蒼斗(あおと)」という美しい響きのなかに込めました。

また、昔は旅人が北斗七星を見て、自分の今いる場所を確認し、進むべき方向を決めていたことから、 「蒼斗七星」が青砥酒造の今後進むべき道を照らす星明かりとなるように…。

そして、点である星と星を繋げると星座という一つの形を描くように、「蒼斗七星」を酌み交わすことで、 人と人が繋がって新たな場を作り出したり、絆を深めたりすることができたら…。

「蒼斗七星」は、そんな気持ちを込めながら、最後まで丁寧に丁寧に作った日本酒です。

●「こだわり 木槽搾り」

「雫取り」とは、もろみを布の袋に詰め、そこから自然に滴り落ちる雫だけを集める搾り方です。

できるだけ雑味が酒に混ざらないようにするための工程で、「蒼斗七星」は澄んだ上澄み部分だけを斗瓶で囲い、保存します。

フレッシュな香りと旨みが生まれる瞬間です。

     ◇

 瓶のラベルによると、この酒の原料米は島根県産の「佐香錦」。精米歩合は58%。「佐香錦」は、島根県農業試験場が1985年、母「改良八反流」と父「金紋錦」を交配し、選抜・育成を繰り返し開発、2004年に品種登録された酒造好適米。2005年のデータによると、全国の作付面積は15ヘクタール。そのすべてが島根県での作付だ。

酒蛙