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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1049】三千盛 本醸(みちさかり)【岐阜】

2013.2.14 20:08
岐阜県多治見市 三千盛謹醸
岐阜県多治見市 三千盛謹醸

【岐阜にて 全3回の③完】

 岐阜市で仕事関係の会議があった。会議が終わってから、ホテルで懇親会。「氷室 大吟醸 生」を楽しんでから、酒飲みグループ10数人で街に繰り出し、S居酒屋に入った。そこでは「白真弓 飛騨乃やんちゃ 搾りたて原酒 特別本醸造生」と「白真弓 飛騨やんちゃ 男酒 本醸造辛口(+11)」を飲み、ホテルに帰った。

 が、なんとなく飲み足りない。K社とF社の飲兵衛と「やるか?」「やりましょう」。こういう話はすぐまとまる。コートを部屋に置いて来なければならない。で、1階で待ち合わせることにした。わたくしは1階で待った。が、待てど暮らせど2人は姿を見せない。しょうがなく、わたくしは地下の居酒屋に1人で入った。

 翌日聞いたら、2人は地下1階でわたくしを待っていた、という。待てど暮らせどわたくしが現れないので、しょうがなく同じ地下にあるバーに入ったのだ、という。どちらが間違えたのか。たぶん、わたくしだろう。

 酒メニューを見て「三千盛 本醸」を注文する。類似の酒が見当たらないほど個性的な味の「三千盛」は、わたくしの大好きな酒で以前、「三千盛 しぼりたて純米」(当連載【99】参照)の1升瓶を24本もまとめて注文したことがあるほどだ。

 「三千盛 本醸」は10年ほど前、居酒屋でよく飲んだが、近年は口にしていなかった。懐かしくなって注文した。

 「ぬる燗でお願いします」と注文したはずだが、銚子の口からポッポッと湯気が上がるほどの超極熱燗。推定60~65℃。銚子に触れないほど熱い。ぬる燗のはずなのに。人を馬鹿にしているのか? 飲んでみたら熱過ぎ、軽快過ぎ、味がしない。

 しょうがなく、「冷ましてちょうだい」とお願い。再び出てきた酒は、こんどは冷まし過ぎ。推定35~36℃の人肌燗。ぬるすぎる。40℃は欲しかったが、激超熱燗よりはいい。じっくり味わってみる。

 旨い。軽快。旨みと酸味が広がる。三千盛を飲むのは久しぶりだったが、三千盛のDNAがちゃんとあった(当たり前だが)。軽快で、旨みがやや少なめ。これがいい。飲み飽きしないからだ。余韻の苦味もいい。まとまりがあり、しみじみ、いい酒だなあ、とおもう。

 瓶の裏ラベルは、この酒を「よけいな味を省いた『からくち』 淡麗なお酒ながらしっかり筋が通っております。料理との相性はよく、繊細な味を守ります」と紹介している。まったくその通りだとおもう。

 ラベルによると、酒度は+15。超辛口の数字だ。しかし、+15なのに、ドライに感じさせず、やわらかな旨みを出しつつしっかりした辛口なのには脱帽だ。精米歩合は55%。純米吟醸並みの精米歩合だ。蔵の確固たる意思を感じる。ただ、原材料名が「米(国産)・米麹(国産米) 醸造アルコール」と表示しているだけで、使用米の品種を開示していないのは残念。

 また、蔵のホームページではこの酒を「“からくち”らしい味の強さを感じられます。複雑にからまりながら最後はひとつにまとまります。いろいろな料理に幅広く合わせられます」と紹介している。「“からくち”らしい味の強さ」もまったく同感だ。ドライにならず、しっかり辛口を感じさせる、というわたくしの表現と同じ意味だとおもう。

酒蛙

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