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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1184】くどき上手 純米吟醸 酒未来 生詰(じょうず)【山形】

2013.6.4 21:35
山形県鶴岡市 亀の井酒造
山形県鶴岡市 亀の井酒造

【水無月会月例会 全5回の③】

 苗字は分かるが名前は不明、職業・年齢にいたってはまったく不明という不特定少数の酒飲み人が月に1回、Y居酒屋に集う水無月会。足掛け5年、毎月欠かさず開いている。今回は10人が集まった。

 「清泉 純米吟醸 七代目 生貯蔵酒」「山廃 穀良都」と飲み進め、3番目にいただいたのは「くどき上手 純米吟醸 酒未来 生詰」だった。2番目の「山廃 穀良都」が、強烈な酸味酒だったため、その影響が3番目の酒に及ぼさないよう、みんなに舌のリセットを勧める。各自、水を飲んだり、料理を食べたり、と舌のリセットを行い、「くどき上手」に向き合う。

 男性Aさん「甘いっす。前の酒の影響かな。舌をリセットしたはずなのに」

 女性Nさん「甘いっ!」

 男性Sさん「甘いなあ」

 男性Aさん「しかし、甘みの中にも、しっかり味があるよ」

 酒蛙「甘旨だ。そして酸がある。甘旨酸のバランスがいいなあ」

 男性Aさん「はい、酸があります」

 酒蛙「けっこう濃い。とろり感がある。上品な香りが華やかに立つ。そしてキレが良く、後味すっきり」

 男性Aさん「すいすいじゃなく、味わいながらゆっくり飲む酒かもしれません」

 酒蛙「おいしいなあ。やわらかくてふくらみがあり、フルーティーにしてジューシー。お菓子を飲んでいるような感じだ」

 完成度が非常に高い旨さだった。みんな、この酒を飲み、陶然となる。わたくしたちは、アユの塩焼きとこの酒を合わせた。

 ラベルによると、「原料米 酒未来100%」、精米歩合50%。裏ラベルはこの酒を「特徴 18年の研究開発 山田錦交配種 巾あり香り高い」と酒米の「酒未来」と酒質を端的に説明している。

 酒造好適米(酒米)の「酒未来」について、ウィキペディアは、「1999年、民間機関開発。高木酒造の高木辰五郎が山酒4号/美山錦を交配して育種。米雑穀卸業の株式会社アスクが商標登録の権利を有する」と説明している。

 また、地酒屋サンマートのサイトの中にある「お酒用語集」では、以下のように説明している。「『十四代』で知られる山形県の高木酒造の高木辰五郎社長が、『山酒4号』『美山錦』を交配して育種した酒造好適米。自社で交配、育成し、地元の山形県内で栽培した酒造好適米を用いた日本酒を醸造することにより、全国に山形の清酒をアピールする目的で誕生。酒造会社自ら酒米の交配、育種を手掛けた例は全国的でも珍しく、『龍の落とし子』と兄弟系統にある『酒未来』は、山田錦の交配種にあたり、品種改良によって山田錦の系統を受け継いだ醸造適正が非常に優れた酒造好適米です」

 母「山酒4号」と父「美山錦」を交配した結果、「酒未来」が誕生したわけだが、「山酒4号」は、「金紋錦」と「山田錦」を交配して生まれた。ということで、「酒未来」は「山田錦」の孫に当たる。

 ちなみに高木さんは同じ時期に「龍の落とし子」と「羽州誉」という酒米も交配・開発しており、「酒未来」も含め、3部作といわれている。「酒未来」の育成・開発には18年もの歳月を費やした、という。

 「酒未来」は、意欲のある他蔵にも提供しており、当連載でも「酒未来」を使ったお酒は「羽陽男山 純米吟醸 酒未来」(連載【904】参照)、「而今 純米吟醸 酒未来 無濾過生」(連載【905】参照)、「天青 純米吟醸 千峰 酒未来」(連載【974】参照)、「山形正宗 純米吟醸 酒未来 生酒」(連載【1152】参照)、「東洋美人 純米吟醸 酒未来」(連載【1168】参照)と、これまで5種類を取り上げている。

酒蛙