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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1214】蓬莱 非売品の酒 奥殿諸白永代覚帖 蔵元監査秘造原酒(ひばいひん)【岐阜】

2013.7.3 21:16
岐阜県飛騨市 渡辺酒造店
岐阜県飛騨市 渡辺酒造店

【水無月会月例会 全6回の⑥完】

 苗字は分かるが名前は不明、職業・年齢にいたってはまったく不明という不特定少数の酒飲み人が月に1回、Y居酒屋に集う水無月会。足掛け5年、毎月欠かさず開いている。今回は10人が集まった。

 「刈穂 夏 吟醸 六舟 Summer Mist」「やまとしずく Sparkling 純米吟醸 青春のヤマト 生酒」「御代櫻 純米吟醸 無濾過生原酒」「スーパー くどき上手 純米大吟醸 生詰」「会津中将 夏限定 吟醸 生貯蔵」と飲み進め、最後6番目にいただいたのが「非売品の酒」だった。

 「非売品の酒」とは? 蔵人しか口にできない酒か? それにしても、ずいぶん自信満々のネーミング。はて、どこの蔵なんだろう、とラベルやタグをみたら、主銘柄が「蓬莱」の蔵だ。「蓬莱」は以前、「蓬莱 純米大吟醸 色おとこ」(当連載【697】参照)を飲んだことがある。いい酒だった記憶がある。さて、いただいてみる。

 女性Nさん「いいよね、これ」

 男性Sさん「濃いっすね」

 男性Aさん「はい、濃いです」

 酒蛙「まろやか。まったり。旨みたっぷり。余韻は辛み。酸味がすくなく、全体として旨辛酒というイメージだ」

 女将「しっかりした味で、酒~♪という感じ」

 女性Nさん「う~~ん、いいよねぇ~~」

 酒蛙「甘みもある」

 男性Aさん「飲み込んだとき、辛みを感じる。おいしいっす。ちびちびやりながら飲む酒って感じですね」

 酒蛙「吟醸香もあるね」

 ここで、女性Nさんが「この酒もぬる燗にしてみましょ」と提案。Nさんはこのところ、燗酒にめざめ、これとおもう酒はぬる燗で試したがる。非常に良いことで、燗酒ファンのわたくしはすぐ乗って「やろう、やろう、燗酒やろう」。女将が40℃のぬる燗をつけてくれる。

 女性Nさん「辛みがピリピリくる。いいね」

 女性Sさん「すんごくいい」

 女性Dさん「きりっと味が引き締まり、おいしい」

 酒蛙「辛みが来るね。冷酒のときはまったりした飲み口だったけど、ぬる燗にしたら辛みと酸もが出てきて、味にメリハリが非常に出てきた。ぬる燗にすれば、タッチがずいぶん変わる」

 男性Aさん「これはこれでいいですね」

 酒蛙「甘旨辛酸っぱい酒質になり、余韻は辛み」

 男性Aさん「そうおもいます」

 瓶の首に、昔の荷札状のタグがぶら下がっている。そこには、以下のような説明文が書かれている。

「飛騨の酒蔵 蓬莱

『非売品の酒』とは…

酒蔵には、通常店頭には並ぶことのない門外不出の酒があり、『非売品の酒』はこれに由来したお酒です。

このお酒は、蓬莱が蔵を訪問される来客VIPのために特別に仕込み、リザーブしている秘造の原酒です。従来のもろみをさらに長期に低温熟成させ、アルコール分を極限まで高めました。

日本酒本来のコクとキレを最高に引き出した逸品です。保存には新聞紙を一枚巻き、光を遮断して本来鑑評会に出品するのと同じ貯蔵管理方法でお届けいたします。

どうぞ、そのまま冷や、またはオンザロックで、秘蔵の味をご賞味ください」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

 【杜氏の愛が詰まった最高傑作!!あまりの出来に涙とまらズ】

通常一般店頭には並ぶことのない「非売品の酒」をお分けいたしたくご案内申し上げます。

このお酒は首都圏の某高級料亭のために特別に仕込まれたお酒であり、蔵を訪れる来客VIP用にリザーブされている極秘造原酒です。従来のもろみをさらに長期に低温熟成させ、アルコール分を極限まで高めました。無造作に新聞紙を巻いた包装にも驚かれるかもしれません。これは光を遮断して本来鑑評会に出品する最高の貯蔵管理方法なのです。地元紙で巻いており、飛騨を思い出すご贈答としても好評です。

そのまま冷や、またはオンザロックで秘造の味をご賞味ください

 【常識を打ち破る非売品という名の酒】

このお酒は首都圏の某高級料亭のために特別に仕込まれたお酒であり、蔵を訪れる来客VIP用にリザーブされている秘造原酒です。通常一般店頭には並ぶことのない「非売品の酒」のご案内です。

 【えっ!許せない。こんなおいしいお酒を内緒にしていたの?】

従来のもろみをさらに長期に低温熟成させ、アルコール分を極限まで高めました。保存には新聞紙を一枚巻き、光を遮断して本来鑑評会に出品するのと同じ貯蔵管理方法でお届けいたします。そのまま冷や、またはオンザロックで、秘蔵の味をご賞味ください。

 【一般販売に際してのお願い】

できるだけ多くの方に美味しいお酒を提供したいというのが私共の考えです。しかし本年は、当社の基準を満たす良質な酒米の収穫量が減少したため、非売品の酒は30%の減産となっており、3500本のみの発売です。そのため急な品切れを起こす場合がございます。後になって「くれ!」といわれても出来ません。まことに申し訳ございません。お早目にお申し込みください

 ラベルによると原材料名は、米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール。アルコール分は18度以上19度未満。使用米は「ひだほまれ」100%で、精米歩合は55%。

 使用米の「ひだほまれ」は1972年、岐阜県高冷地農業試験場が、母「『ひだみのり』と『フクノハナ』の子と父『フクニシキ』を交配。選抜と育成を繰り返し1982年に品種登録された。現在は岐阜県で栽培されている。

 ところで、ラベルの酒名の隣に「奥殿諸白永代覚帖 蔵元監査秘造原酒」と一見、漢詩モードで漢字が連なっているが、「奥殿諸白永代覚帖」って、なんだろう。まったく分からない。

酒蛙

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