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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1235】和心 純米 朝日米 辛口 無濾過 生原酒(わしん)【岡山】

2013.7.24 17:54
岡山県津山市 難波酒造
岡山県津山市 難波酒造

【H居酒屋にて 全2回の①】

 例によって例のごとく、週末、ふらりと近くのH居酒屋へ。晩酌のためだ。ふつう、晩酌というと家飲みだが、わたくしの場合、家晩酌より外晩酌の方が多い。

 店の冷蔵庫を見たら、見慣れない「和心」という酒が鎮座していた。H居酒屋の店主は、次回入れる酒をあらかじめわたくしに予告するが、この酒は予告になかった。なぜ? 店主いわく「店の酒が少なくなったので、近くのK酒店に買いに行ったら、店の女将が『これ、いいよ~』と推したから買ったんです。今年から、この酒店に置いている、とのことです」。まずは冷酒でいただいてみる。

 酒蛙「上立ち香は、コメの香りがぷ~んとくるね」

 店主「いいな」

 酒蛙「旨辛だ。とろりとして、味にふくらみがある」

 店主「キレが良い。いい酒だ」

 酒蛙「酸はやや遅れてくる。余韻は辛みと酸がすこし」

 店主「食中酒ですね」

 酒蛙「食中酒としては、すこし重いかな。コクがあるね。すこし骨太だ」

 店主「実は、この銘柄の『亀ノ尾』(酒米)を入れたかったのだが、無かったんです」

 酒蛙「アテ要らずの酒だ。飲み進めていったら、甘みもすこし出てくる。全体をまとめると、甘旨辛に酸がすこしついてくる感じの、やや濃醇酒だ」

 次に、ぬる燗にして飲んでみる。温度はちょうど40℃。

 店主「コメの風味が強い。酸っぱい」

 酒蛙「酸っぱ! 酸がずいぶん出てくるね」

 店主「辛さが引き立ちます」

 酒蛙「いいね、いいね。旨辛でキレが良い」

 店主「余韻に、ずーっと酸が残る。うん、いい。クセが無く、粗くない」

 酒蛙「バランスがとれており、よくまとまっている。そして、味が強い。力強いね」

 瓶の裏ラベルによると、「原料米 岡山県朝日、精米歩合65%」。そして裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「朝日米は、かつては、東の『亀の尾』

西の『朝日』と称された

大粒の銘柄米ですが

その作りにくさが嫌われ

今ではほとんど岡山県下でしか

栽培されなくなりました

この伝統の銘米を

備中杜氏流の伝承の軽快な仕込みで

すっきり辛口に仕上げました」

 また、この酒の首に、「しおり」がぶら下がっていたそうで、店主がその「しおり」を見せてくれた。そこには、「『和心』伝えたい…和の心…」と題し、以下のように書かれていた。

「日本人が生んだ わび・さびの世界

花鳥風月をめで 四季の移ろいを楽しむ

日々の営みの中から失われていく和の心

日本人が育んで来た日本の心

そして酒造りの伝承の技、手の技

和心は

厳選の原材料だけを 伝承の技で

時間をかけてじっくり手づくり

良質の和食とともに

良質の時間をお届けしたい

すこしだけの贅沢を添えて」

 そして、「和心ラベルの文字は、武田双雲先生の揮毫です」と書き添えられていた。「和心」のコンセプトは「究極の贅を尽くす おもてなしの一献」。

 蔵のホームページによると、「平成24年 超高級酒『和心』シリーズ発売開始」とのことで、「和心」はずいぶん新しい銘柄だ。「和心」について「現在ほとんど岡山県でしか栽培されていない朝日米ですが、大粒なので酒造用に使用されます。昨年、岡山県清酒品評会・純米酒部門で、県知事賞(首席)をとったレシピの再現醸造です」と“生い立ち”を説明している。日本酒度は+9の辛口。

 この蔵のスタンダード銘柄は「富久迎」。近年は「作州武蔵」で売り出している。蔵のホームページは「作州武蔵」について、以下のように記している。蔵の地は、剣豪・宮本武蔵のふるさとだったのだ。

 「宮本武蔵の故郷、旧美作の国 (みまさかのくに、作州) は、一説に『美酒 (みまさけ) の国』転じて美作の国となったと言われております。

 作州武蔵は、この美酒の国、美作の中国連峰の山あいにある小さな酒蔵です。女性当主のもと全職員一丸となって、厳選された極上米だけをふんだんに用い、手造りの技でじっくりと時をかけ醸し出します。他では味わうことのできない独創の地酒、作州武蔵をお試しください」

 さて、「朝日米」は聞き慣れない。ウィキペディアで検索した結果を以下に貼り付ける。

     ◇

 【概要】明治41年に京都府向日市で山本新次郎という農家が「日ノ出」という品種の米を栽培していた時、その中に特異な2穂を発見した。それを育て、日ノ出から連想させて「朝日」と名称を定めたが、すでに同名の品種が京都府内に存在していたため、明治44年に京都府農業試験場が「旭(京都旭)」と正式に命名した。

 大正時代に岡山県農業試験場が旭の品種改良を行ったが、岡山県内ではすでに旭という品種が別に存在していたために混同を避けるため、「朝日」という名称に決定した。 大正14年2月に岡山県の奨励品種に定められた。

 その後も岡山農業試験場は試験・品種改良を続け、「朝日47号」を分離選出した。現在栽培されている朝日の大半はこれである。

 コシヒカリ・ササニシキ・あきたこまちも品種改良をたどれば、この朝日(旭)にルーツがある。

 【特徴】大粒で、適度な粘りと歯ごたえが持ち味である。また、ふくよかでほどよい甘さのある上品な味わいだといわれる。米飯の他、握り飯や寿司(握り寿司、ばら寿司など)に適している。

 中心部分に心白が少ない品種であるが、酒米としても使用される。

 欠点としては、背が高いため栽培時に倒れやすく育てにくい、脱粒しやすい等の点が挙げられる。

 【主要産地】岡山県 - 南部を中心に栽培される。アケボノ、ヒノヒカリ、雄町とともに岡山米の代表格とされている。

酒蛙