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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1245】明鏡止水 大吟醸(めいきょうしすい)【長野】

2013.8.5 0:09
長野県佐久市 大澤酒造
長野県佐久市 大澤酒造

【M居酒屋にて 全3回の③完】

 苗字は分かるが名前は不明、職業・年齢にいたってはまったく不明という不特定少数の酒飲み人が月に1回、Y居酒屋に集う水無月会。足掛け5年、毎月欠かさず開いている。今回は9人が集まった。

 6種類の酒を飲み解散したが、メンバーの女性Nさんが「M居酒屋に行きたい」と要望。同じくメンバーの男性Mさんとともに、M居酒屋に転戦した。Nさんが、店主と一緒にまず選んだのが「黒龍 吟醸 特撰」。その次に選んだのが「山間 5号 無濾過生原酒」だった。

 NさんとMさんは、「黒龍」と「山間」の2つを飲み終わったら連れ立って帰ったが、わたくしは、なお飲み足りなく感じたため、一人、M居酒屋のカウンターに残り、酒を飲むことにした。酒の選択は、面倒くさくなったから直観で。冷蔵庫の中で、パッと目が合った「明鏡止水 大吟醸」を選択する。

 旨いっ! 旨みがあるが、すっきり感もある。しかし、余韻は辛み。やや華やかな大吟醸だが、すっきり感がある一方で、しっかりした味わいを持つ。上品だが芯がある、と言えばいいのだろうか。

 ラベルによると酸度が1.5なので、一定程度以上の酸味が感じられるはずだが、わたくしの舌には、酸味はなぜか感じられない。酸味酒好きのわたくしにとっては、酸味がないのは、やや不満。しかし、酸味が嫌いな人もまた多いので、その点、この酒は酸味が嫌いな人から評価されるだろう。

 瓶の裏ラベルは、この酒を「厳寒期に蔵人の和をもって醸し上げた大吟醸酒です」と紹介している。ラベルによると、使用米は兵庫県産山田錦100%。精米歩合は40%。

 さて、次の酒を飲もうか飲むまいか、と考え始めたところ、M居酒屋の女将が「あたし、Y居酒屋に行きた~~い」と、気だるい口調で、のたまうではないか。わたくしは女性Nさんが「M居酒屋に行きたい」というのでY居酒屋から連れてきたら、今度はそこの女将が「Y居酒屋に行きたい」とは! わたくしはまるで、Y居酒屋とM居酒屋を往復するタクシーみたいなものではないか。

 店を出て行ったばかりのわたくしが、M居酒屋の女将を連れて戻ったため、Y居酒屋の女将はびっくり仰天。2人は、仲良しなようで、2人で激しく女子会をやっている。それをそばで眺めながら、わたくしは「萩の鶴 特別純米 美山錦」(当連載【753】参照)を独酌で飲んだ。どんなシチュエーションでも最高のパフォーマンスを発揮できる酒。目下、わたくしの口に最高に合う酒。この酒を飲むと、心が豊かになった気持ちになる。

酒蛙