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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1246】百十郎 青波 Cool Face(ひゃくじゅうろう)【岐阜】

2013.8.6 22:22
岐阜県 各務原市林本店
岐阜県 各務原市林本店

 例によって例のごとく、週末の夕方、近所のH居酒屋へ。この外晩酌が、なんともいえず気分がいい。店に入り、冷蔵庫を見たら、歌舞伎の隈取ラベルの酒が入っていた。

 この酒は、店主が「次に入れるよ」と予告していたお酒だ。H居酒屋の店主は歌舞伎が大好きで、店内のカレンダーは毎年、歌舞伎座のカレンダーだ。店主いわく「まさに、ラベル買いです。でも、何の演題の隈取なのか分かりません」。そして、「どうしても買いたかったお酒です」。このようなこだわりは、わたくし大好きだ。さて、冷酒でいただいてみる。

 店主「あ、すっきりしたタッチ」

 酒蛙「上立ち香は、コメの香りがする」

 店主「ちょっと辛い」

 酒蛙「酸っぱ! 酸が強い。旨みが適度にあって、飲みやすい」

 店主「アルコール分が14度~15度と低めに抑えているので飲みやすいのです」

 酒蛙「フレッシュ感もあり、夏酒向きだね」

 店主「うん、夏酒向きだね」

 酒蛙「酸旨タッチで軽快な飲み口。甘みもすこし感じる」

 店主「クセが無い」

 酒蛙「余韻があまりなく、すっとキレる」

 店主「余韻に辛みを感じる」

 酒蛙「う~む、俺はあまり辛みを感じない。後口にちょっと感じる。辛みというよりは、ややドライに感じる」

 店主「俺は、すごく感じる」

 酒蛙「いやはや夏向きの酒だ。いくらでも飲めそうだ。あっ、飲んでいたら、余韻に苦辛が出てきた」

 店主「かなり、いいね」

 酒蛙「あ、苦味が余韻にも出てきた」

 一升瓶のラベルを見ながら酒を飲んだのだが、ラベルの細かい地模様が気になって仕方ない。が、老眼なので、模様がよく見えない。なんとなく波のように見える。で、聞いてみた。

 酒蛙「ラベルの地模様は波か?」

 店主「はい、blue waveです」

 酒蛙「ふ~ん。プロ野球球団の御用達かな」

 その「blue wave」を飲み進める。

 酒蛙「旨いなあ。さわやかなお酒だ。温度がすこし下がったら、甘みがすこし出てきて、苦味がさらに強くなってきた。肩が凝らず、気軽に飲めるお酒だ」

 さて、ぬる燗にすれば、どのように変身するのだろう。興味津々で、店主にぬる燗をつけてもらう。温度は、40℃ちょうど。ぬる燗をいただいてみる。

 店主「酸っぱい」

 酒蛙「調子が、酸甘旨だ」

 店主「酸っぱさと辛さがある」

 酒蛙「余韻に苦みが出る」

 店主「辛い。苦い。後味は酸味。温度が下がると苦みが出てくる。苦辛だ。ちょっと温度が変わると、酒の味がすごく変わる。この酒は、冷酒の方がいいとおもうな、俺は」

 酒蛙「甘みも出てくる。酸より甘みが前に出てくる」

 店主「甘苦辛旨酸…味の要素がみんな出ています」

 ラベルによると、「原材料名/米(国産)・米麹(国産米)」「米/五百万石90%・山田錦10%使用」「精米歩合/五百万石60%・山田錦40%」。この酒で気になることがある。表ラベル、裏ラベル、肩ラベル、と3カ所にラベルが貼られているが、そのどれにも「クラス」が書かれていないのだ。めったにないレアケース。スペックから類推すると純米吟醸か特別純米クラスなのだろうが、「クラス」を名乗らない理由がさっぱり分からない。使用米や精米歩合は、こと細かに開示しているのに…。「うちの酒は、飲んで、勝手におもってくれ」という理由で開示しないのであれば、あまりに“上から目線”だ。

 ところで、なぜ酒名が「百十郎」なのだろう。これについては、蔵のホームページが明らかにしている。以下に貼り付ける。

     ◇  

「百十郎」とは…明治から昭和時代に活躍した、当蔵の地元:各務原市の歌舞伎役者・旅芸人の市川百十郎です。

「百十郎」が桜の木を1,200本寄付した現在の「境川」は、「日本さくら名所100選」にも選ばれました。

そして境川の隣の各務原市民公園には、今では子供から大人まで男女問わず多くの人々が集います。

人が集う場を作るきっかけを与えてくれた「百十郎」を想い命名致しました。

     ◇

ちなみに、この蔵のスタンダードブランドは「榮一」である。

酒蛙

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