メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1325】天穏 神話ノ雫 大吟醸 出雲タケル(てんおん)【島根】

2013.10.25 22:52
島根県出雲市 板倉酒造
島根県出雲市 板倉酒造

【水無月会月例会 全7回の②】

 苗字は分かるが名前は不明、職業・年齢にいたってはまったく不明という不特定少数の酒飲み人が月に1回、Y居酒屋に集う水無月会。足掛け5年、毎月欠かさず開いている。今回は11人が集まった。

 トップバッターは、水無月会の会長・ヨネちゃんの持ち込み酒「繁桝 大吟醸 生詰」。2番目としてヨネちゃんが選んだのは「天穏 神話ノ雫 大吟醸 出雲タケル」だった。「天穏」はこれまで何種類か飲んでいるが、「出雲タケル」は初めて。いかにも神話モード。字を強調した無地ラベルもいい。さて、まずは冷酒でいただいてみる。

 女性Dさん「甘くないわ」

 ヨネちゃん「食中酒にいい。大吟醸っぽくないね」

 女性Dさん「さらさらした飲み口」

 酒蛙「これ、いいよ。さらっとして酸がある。軽快だ。たしかに食中酒にいいね」

 ヨネちゃん「うん、嫌味が無いね」

 酒蛙「爽やか感がある。きれいで、すっきりしたタッチ。旨み・甘みも感じられる。大吟醸だが、香りは抑え気味で、かすかにフルーティー」 

 女性Dさん「味がしっかりしているけど飲みやすいわ」

 女性Nさんが「このお酒、お燗にしたらどうかしら」と提案する。Nさんは、“燗の勘”がすばらしく、「お燗したらどうかしら」という酒は、じっさいに燗で飲んでみるとたいてい、燗上がりしストライクど真ん中。今回もNさんから提案があったので、女将に燗をお願いする。さて、ぬる燗(40℃)ができた。

 ヨネちゃん「甘みが出てくるね」

 酒蛙「やわらかい旨みが出てくる」

 女性Nさん「おいしいわ。飲みやすい。いくらでも飲めますねぇ~」

 酒蛙「酸味がいい感じだ。さっぱりして酸があるので、飲み飽きしないよ」

 飲み疲れしない、いいお酒だった。

 瓶の裏ラベルはこの酒を「奥出雲で収穫された佐香錦を丁寧に原料処理をし、すっきりとした香り高いお酒にしました。ほのかに甘く果実のような香りがします」と紹介している。原料米は「佐香錦」100%、精米歩合は50%。

 「佐香錦」は、島根県農業試験場が1985年、母「改良八反流」と父「金紋錦」を交配。育成と選抜を繰り返し開発。2004年に品種登録された酒造好適米。

 気になるのはラベル名の「出雲タケル」。ネットで検索してみたら、コトバンクの「デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説」で、

「出雲建 いずも-たける

『古事記』にみえる豪族。 出雲(島根県)の首長。景行天皇のとき,倭建命(やまとたけるのみこと)(日本武尊)にあざむかれて討たれたという」

という記述を見つけた。

 中央権力に討たれた地元の英雄を酒名にしたわけで、強い郷土愛とアイデンティティーを感じずにはいられない。

 また、酒米「佐香錦」の名は、佐香神社に由来する。ウィキペディアによると「佐香神社(さかじんじゃ)は島根県出雲市小境町に鎮座する神社である。別名、松尾神社。酒造の神として酒造業者からの信仰を集めている」との記述。さすが、神話の国のお酒だ。

酒蛙