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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1339】蓬莱泉 可。 特別純米 生原酒(ほうらいせん べし)【愛知】

2013.11.7 22:41
愛知県北設楽郡設楽町 関谷醸造
愛知県北設楽郡設楽町 関谷醸造

【U居酒屋にて 全11回の⑤】

 オタマジャクシ&U&美女軍団と久しぶりに飲んだ。それぞれ単独の顔を見たり、あるいは単独で飲んだりしたことはあったが、フルメンバーで飲むのはおよそ5カ月ぶり。飲み会の場所は、オタマジャクシ(蛙のわたくしが年長なので、彼はオタマジャクシを自称している)推薦のU居酒屋。

 わたくしはいちおう、飲む順番を考えていたが、イキオイのある美女軍団に完全にリードされ、騒乱状態の中で「安芸虎 千本錦 ひやおろし 純米」「三井の寿 ひやおろし 秋純吟 ポルチーニ 生詰」「龍力 純米 ドラゴン エピソート3」「鷗樹 生酛純米 無濾過生原酒」と飲み進め、5番目にいただいたのは「蓬莱泉 可。 特別純米 生原酒」だった。

 おおっ、「べし」ではないか。この酒、かなり以前に、なじみのH居酒屋で飲んだことがある。が、味は完璧に忘れてしまった。したがって、今回、予断無しの、まっさらな気持ちでいただく。

 酒蛙「甘い、酸っぱい、旨い、香り抑え気味、余韻は苦い」

 オタマジャクシ「辛い」

 酒蛙「適度な旨みがじんわりくる。しっかりした味で、バランスがいい」

 オタマジャクシ「舌の上で転がすと酸味が出てくる。クセが無い。いいね、このお酒」

 酒蛙「ラベルがすごいし、生原酒だし、濃厚強烈な酒質かとおもったが、ずいぶん軽くさっぱりしていて飲みやすい。クセがなく、酸を感じるので、飲み飽きせず、食中酒に最適だね」

 蔵のホームページはこの酒を「酸味が少なくあっさりとした口当りと、含み香が特色のすっきり型純米酒です。よく冷やして呑むと美味」と説明している。わたくしやオタマジャクシは、この酒に酸を感じたが、ホームページでは「酸が少ない」としており、これは意外だった。ま、1000人いると1000人の舌が違うのだから、どちらが間違いということもないだろう。

 ホームページによると、原料米は麹米が「夢山水」(精米歩合55%)、掛米が「チヨニシキ」(精米歩合55%)。

 麹米の「夢山水」は、愛知県農業総合試験場山間農業研究所が1988年、母「山田錦」、父「中部44号」を交配、選抜と育成を繰り返し開発。2001年に品種登録された酒造好適米。蔵のホームページでは「『夢山水』は愛知農試山間試験場、県食品技術センターと関谷醸造(株)が協同研究の末開発した、山間高冷地専用の酒造好適米です」と紹介している。

 また、掛米の「チヨニシキ」は、愛知県農業総合試験場山間技術実験農場が1973年、母「初星」、父「トヨニシキ」を交配、選抜と育成を繰り返し開発。1986年に品種登録された食用米だ。瓶のラベルに原料米が開示されていないのは残念。

 ところで、酒名の「可。」の由来は何なんだろう。蔵のホームページは「ラベルの文言は江戸時代の漢詩人、菅茶山(かんさざん)の文から。酒銘はラベルの結句『吾輩紳に書すべし』からとりました」と由来を述べている。

 その文は瓶のラベルに以下のように書かれている。「一盃人酒を呑み 三盃酒人を呑む 知らず是れ誰の語ぞ 吾輩紳に書すべし」。これは漢詩の読み下し文で、原詩は「一杯人呑酒 三杯酒呑人 不知是誰語 我輩可書紳」。

 この意味は、菅茶山記念館のホームページによると、「一杯は人が酒を飲んでいるといえるけれども、三杯となっては酒が人を呑んでしまう。これが誰の言葉かは知らないが、それを自分の心にいつもとどめて慎むことにしている」。けだし名言。酒飲みのわたくしは、この詩を見て、反省反省また反省、である。そして、かくありたいものだ。それができないから、そう願う。

 さて、詩の中で、菅茶山は「誰の言葉かは知らないが」と書いているが、ウェブサイト「名言ナビ☆名言データベース 」によると、「一杯は人酒を飲み、二杯は酒酒を飲み、三杯は酒人を飲む」という言葉があり、これは安土桃山時代の茶人・千利休(1522~1591年)の作という。菅茶山は、この言葉を引いたのだろうか。

 ウィキペディアによると、菅 茶山は、<1748(延享5)年2月29日-1827(文政10)年10月3日>は、江戸時代後期の儒学者・漢詩人。備後国安那郡川北村(現広島県福山市神辺町)の出身。菅茶山記念館のホームページによると、「茶山は漢詩の達人であり、生涯に詠んだ漢詩の数は数千にもおよびます。その腕前は『当世随一』とまでいわれるほどで当時の第一人者でした」という。

酒蛙

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