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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1398】竹林 ふかまり 瀞 純米無濾過生原酒(ちくりん とろ)【岡山】

2014.1.11 16:04
岡山県浅口市 丸本酒造
岡山県浅口市 丸本酒造

【日本酒研究会月例会 全4回の②】

 異業種の酒飲み人が月1回集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。今回は、メンバーのJが別席の会合がある、というのでJの同僚Sが代打ちとして参加、人数はいつも通りの5人でスタートした。今回の会場はH居酒屋だ。

 店主がトップバッターで持ってきたのは「東力士 純米 雄町」。続いて「百十郎 無濾過生原酒 青面 うすにごり」。そして3番目に持ってきたのが「竹林 ふかまり 瀞 純米無濾過生原酒」だった。

 M 「竹林 ふかまり 瀞 この三者の関係は?」

 H 「竹林 ふかまり 瀞 う~ん、意味がわかんねぇなぁ~」

 S 「(スマホであちこち検索し)生酒を半年間、低温熟成させてから出荷するのが『瀞』。荒々しいしぼりたての酒が、とろりとしてきた状態を『ふかまり』というんだそうです」

 M、H「ふ~ん」

 酒を飲む前からの刹那的疑問難問連射で、スマホ検索担当のSは大忙しだ。さて、いただいてみる。まずは冷酒で。

 M 「ちょと甘い。ずーっと甘さを感じます」

 Y 「甘いっす」

 酒蛙「とろり感がある飲み口なので、瀞なのだろうか??? 深い旨みがある」

 次に、ぬる燗(40℃)にしていただいてみる。

 酒蛙「酒の味が濃くなる。酸が出る」

 S 「ブワっと味が広がる」

 M 「結婚式の酒のようだ。ふわっと広がる」

 酒蛙「冷酒のときは甘さが際立っていたが、ぬる燗にしたら甘酸旨のバランスが良くなった」

 Y 「燗の方がいい」

 H、酒蛙「うん、燗の方が断然いいね」

 わたくしたちが、冷酒より燗酒の方がいいと感じたのも道理だった。蔵のホームページはこの酒を「室温から燗酒で、冷やさずにお飲みいただくのがお勧めです」と紹介しているではないか。やっぱり酒は、冷酒オンリーでは語れない、とあらためておもう。お茶目なわたくしたちは、「じゃ、熱燗も試してみよう」。スズ製の“ちろり”(湯煎の道具)を熱湯が入った容器に入れ、推定50~55℃に上げる。いただいてみる。

 Y 「苦くなった」

 酒蛙「そう、苦みが出てきた」

 S 「ちょっと厳しいかも」

 このお酒は燗酒が良かったが、中でも約40℃の、ぬる燗が良かった。

 ここで、ウスバカ会話が繰り広げられる。スズ製の“ちろり”を見たMが「スズは何と何でできているんだろう???」とつぶやいた。みんな「う~む、何だろう???」と腕組みして真剣に考える。Sはこれに速やかに反応して必死にスマホ検索したが、「調べたけど、難しくて分からいっす」とギブアップ。放り出されたディスプレイの小さな字を読んでいたら笑ってしまった。「スズは合金じゃないよぉぉぉぉ!!! スズは元素だったんだあああああ!!!」。これにはさすがのMも「ありゃりゃりゃりゃ」。みんなも「がははは。中学校の理科なんて、すっかり忘れちゃったよぉぉぉ」。

 ところで、日本酒研究会月例会が開かれる数日前、わたくしはH居酒屋で晩酌。そのとき「竹林 ふかまり 瀞 純米無濾過生原酒」を冷酒でいただいた。以下はそのときの感想。

 店主「しずかなお酒です。いいバランス。キレが良い。おいしい」

 酒蛙「やわらかく、ふくよか。旨みがたっぷりあり、中盤から酸がくる。『しずかなお酒』という表現はまったくその通りだね」

 店主「酸を感じます。分かりやすい」

 酒蛙「吟醸香が適度にある。フルーティー。甘みもたっぷりある。甘旨味がかなりある」

 店主「いいっすね」

 酒蛙「飲んでいたら甘旨が次第に強くなっていく」

 店主「なかなかいい。この酒を店に入れて良かった」

 酒蛙「飲んでいたら、最後は甘さが一番強くなった」

 瓶の裏ラベルはこの酒を「自社栽培山田錦を使用しお米の持っている味を生かした純米酒です。槽(ふね)で搾った中汲みを、秋まで-5℃で生熟成させました。飲めば飲むほどに、ふくよかな味わい深い旨味を感じさせます」と紹介している。米の銘柄:自社栽培山田錦100%、精米歩合60%。

 また、蔵のホームページはこの酒を「落ち着いた香りは、香木のよう。辛口の味わいの奥に、深くなめらかな甘さも僅かに。玄米を口にするような味の充足感。噛めば噛むほど、飲めば飲むほど、旨味が口中に広がります」と紹介している。これには驚いた。「辛口の味わい」「甘さも僅かに」の部分だ。わたくしの舌では、辛さをあまり感じなかったし、甘さは僅かどころではなく強く太く感じたのだから。ホームページに書かれている「辛口の味わい」「甘さも僅かに」は、おそらくは冷酒のときの味わいではなく、燗酒のそれだとおもう。

 またホームページは「ふかまり」と相性の良い料理として、以下の2つを挙げている。

「ローストビーフ

深い味のある『ふかまり』は、インパクトある素材も充分に受けとめます。熟成感のあるローストビーフとソースのような重厚な味わいの一品でも、『ふかまり』の濃い米の旨味が重なりあって、ローストビーフをより重層的に味わうことができます」

「ブルーチーズ

『ふかまり』の微かに蜜を感じさせる穏やかな香りは、特徴的な匂いのブルーチーズとも抜群の相性です。ブルーチーズの刺激的な味わいを、『ふかまり』の複雑で厚みのあるどっしりした旨みが優しく包み込み、まろやかなコクと独特の風味が渾然一体となって味わえます」

酒蛙