メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1491】仙禽 雪だるま にごり酒(せんきん)【栃木】

2014.3.18 23:35
栃木県さくら市 せんきん
栃木県さくら市 せんきん

【U居酒屋にて 全19回の⑯】

 オタマジャクシおよびその仲間たちと、4カ月ぶりに飲んだ。オタマジャクシは、「蛙」のわたくしより年少なので、へりくだって「オタマジャクシ」を自称している。今回はオタマジャクシと同僚の美女Oさん、美女Sさん、それにわたくしを含めての4人で飲んだ。場所は、この飲み会のレギュラーU居酒屋で。

 このときは14種類の酒を飲んだが、後半の古酒5種類は、味の記憶感覚が残らなかった。メモをきちんととり、写真もちゃんと撮っていたのに。でも、これはまずい。味の記憶感覚が無いままに、この「日本酒津々浦々」を書くわけにはいかない。読者に対し、失礼だ。ということで、オタマジャクシたちと飲んだ6日後、今度は酒友Dを誘い、U居酒屋を再訪。味の記憶感覚が無かった古酒5種類を飲み直した。

 そして6番目からは、わたくしが飲んだことがない酒を飲む。店主がまず持ってきたのは「智則 純米吟醸 佐香錦 直汲み中取り 無濾過生原酒」。7番目はわたくしが所望した「仙禽 雪だるま にごり酒」。

 6日前、面白ラベル大好き人間のわたくしとしては、オタマジャクシたちと飲んだときもこの酒に目をつけていたのだが、飲む機会を失してしまい、今回、どうしても飲みたかった酒だ。

 実は、同じU居酒屋で2-3年前、オタマジャクシたちと飲み会を開いたとき、仙禽の“夏酒”「かぶとむし 無ろ過生酒」(当連載【857】参照)を飲み、その激旨ぶりに仰天、腰を抜かすほど驚いた。だから、“冬酒”「雪だるま」の存在を知ったときは、なじみのH居酒屋の店主に「『雪だるま』を店に入れてよ」とお願いしたが、「やだ」とニベもない返事。飲みたくても飲めなかったあこがれの「雪だるま」が、いまU居酒屋に。これは飲まずにはいられない。さっそくいただく。

 酒蛙「甘い、旨い、酸がある。上品なフルーティー感。アルコール度数感が軽めで飲みやすい。素直においしい」

 店主「アルコール分は12度です」

 酒蛙「軽めに感じたのも道理。納得です」

 D「旨いとおもいます。甘さと、わずかな酸味を感じます」

 酒蛙「まとまりがいい。アルコール度数を抑えて出すなんて、つくりが上手だ」

 D「手堅くまとまっています」

 酒蛙「にごり酒だけどくどくない。むしろさっぱりした感じ。上品なタッチであり、肩に力を入れず、楽な気持ちで飲める酒だ」

 あえてアルコール分を12度に抑えたのは、アルコールが苦手な人や女性にも、広く気軽に飲んでもらいたい、というコンセプトがあるのだろう。その一環として、親しみやすい雪だるまの絵をラベルにあしらったのだろう。一見、楽しい酒だが、なかなか考えられた酒なのではないか、とおもう。

 裏ラベルは、以下の表示をしている。「原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)」「原料米/栃木県さくら市産酒造好適米100%」「精米歩合50%」。精米歩合が50%なのにはびっくり。にごり酒だから、あまり削っていないのではないか、とおもったからだ。にごり酒でもかなりコメを削っている蔵の姿勢に驚かされた。また、醸造アルコールを使っていないことにも驚かされた。ガーン!!! このスペックだと純米大吟醸ではないか!!!

 また、裏ラベルには「ご注意書き」と題し、以下の文が掲載されている。

「○当商品は元気で活性なもろみを粗ごしし、瓶詰めしているため、キャップにガス抜きの穴が開いております。そのため、本体を横にしない様お願い致します。

○昔ながらの製法で醸造するため、細心の注意を払っておりますが、木片等が混入する場合がございます。品質には問題がございませんので、取り除いてお召し上がりください。

○必ず冷蔵庫で保存の上、お酒が落ち着いてからお召し上がりください。

○開栓前に絶対に振らないでください」

 「木片等が混入する場合がございます。品質には問題がございませんので、取り除いてお召し上がりください」には笑ってしまった。これはまさしく“どぶろく”の世界ではないか。

 この「ご注意書き」を読むと、飲んだとき活性発泡プチプチ感が舌を刺激するはずだが、今回飲んだときはプチプチ感がなかった。おそらく開栓してからしばらくたった酒のため、ガスが抜けてしまったのだろう。だが、ガスが抜けても、なお非常に旨い酒だった。

酒蛙