×
メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1626】菊正宗 樽酒 生酛 本醸造(きくまさむね)【兵庫】

2014.6.24 18:48
兵庫県神戸市東灘区 菊正宗酒造
兵庫県神戸市東灘区 菊正宗酒造

【蕎麦屋酒 全2回の②完】

 日本酒研究会(名は大層だが、単なる異業種飲み会)の会員8人が、東京・歌舞伎町のU居酒屋で飲み会を開いた。福島県浪江町で居酒屋を開いていた店主が震災・原発事故後、東京で再起したので、励まそうと、その店に集まった、というわけだ。

 U居酒屋での研究会の翌日、8人のうちK、Y、S、酒蛙の4人が蕎麦屋酒を飲むために、池波正太郎がこよなく愛した、創業明治17年の老舗蕎麦屋「神田まつや」に繰り出す。ここでは、「菊正宗 特撰 本醸造 生酛辛口」の燗酒をたっぷりいただき、そばで〆た。

 いささか飲み過ぎたので、「神田まつや」の近くの甘味処「竹むら」で汁粉をいただく。ここの建物は、東京大空襲に焼け残って、昭和5年の創業のままの姿を今に残しており、東京都選定歴史的建造物となっている。

 一息ついてから、次はドトール・コーヒーで休憩。そして、次に暖簾をくぐったのは、明治25年創業の老舗蕎麦屋「上野藪」だった。ここではまず「菊正宗 上撰 生酛本醸造」(当連載【168】)の燗酒を、再びたっぷり飲む。

 そして、次にいただいたのは「菊正宗 樽酒 生酛 本醸造」だった。上野藪ではこの酒を「みぞれ」と称する凍結酒として客に出していた。わたくしたちは、シャーベット状のお酒をいただく。店の仲居さんからは「塩をなめながら飲んでください」と教育的指導を受ける。

 酒蛙「あっ、樽の香りがする。すっきり引き締まった飲み口だ」

 K 「飲みやすい」

 S 「キレが良い。樽の香りが非常に良い」

 酒蛙「コクがあり、味わい深い。芯がしっかりしており、余韻にすこし苦みがある」

 K 「本当に美味しいね」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「菊正宗・樽酒は、本醸造酒を吉野杉の樽に詰め、一番香りの良い飲み頃の樽詰酒を瓶に詰め替えたものです。生酛造りで醸した辛口の菊正宗は、杉樽の香りと調和し、芳醇な樽酒となります。常温(15℃位)やぬる燗(45℃位)で、または冷蔵庫で冷やしてお召し上がりください。甘辛『辛口』、濃淡『やや淡麗』。国産米100%使用」

 むむむむむ。常温やぬる燗で飲むのが一番のおすすめではないか。「または冷やして」とは書いているが、凍結させシャーベット状で飲んでください、と一言も書いていないではないか。こりゃまたいったい、どういうわけだ?

 この紹介文は、後日、この記事を書くにあたり、パソコンで読んだものだが、当日、現場で読んでいたのなら、絶対にぬる燗で飲んだはずだ。残念なことをした。ぬる燗にすれば、おそらくは、樽香がさらに開き、辛み、酸味、旨みもかなり開き、すっきりというよりは濃厚な味わいになるのではないだろうか、と想像する。

 わたくしたちは「菊正宗 上撰 生酛本醸造」と「菊正宗 樽酒 生酛 本醸造」を数えるのが面倒なほどかなりの量を飲む。アテは、焼き海苔、玉子焼き、鴨焼き。そして、最後は、もりそば(せいろう)で〆た。

 午前11時から始まった蕎麦屋昼酒巡りは、こうして午後4時に終了した。ああ、楽しかった。

酒蛙