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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1688】八重垣 純米 生酒(やえがき)【兵庫】

2014.8.30 17:00
兵庫県姫路市 ヤヱガキ酒造
兵庫県姫路市 ヤヱガキ酒造

 例によって例の如く、週末の夕方、歩いて近くのH居酒屋へ。のんびり歩いて居酒屋に行き、客が来ない時間帯に店主相手にまったりと酒を飲む。この緩い雰囲気がたまらなく好きだ。今回は、あらかじめ「八重垣 純米 生酒」を飲むつもりで暖簾をくぐる。まずは冷酒で。

 店主「香る、香る。ふつうに甘酸っぱい」

 酒蛙「酸がずいぶん強いね」

 店主「すこし苦みもある。濃いなあ」

 酒蛙「十分濃い。濃醇な飲み口だ。しっかりした味わいの甘旨酸濃醇酒だ。エレガントなタイプではないかも」

 店主「甘みが出てくる」

 酒蛙「余韻にすこし苦みがある」

 店主「この甘さは全然大丈夫」(「全然」も「大丈夫」も若者言葉。店主は50歳超でも若者言葉を好んで操る)

 酒蛙「かなり旨い。濃いけどくどくない」

 店主「さっぱりしていますよ」

 酒蛙「香りは抑えられている」

 店主「フルーティーです」

 酒蛙「濃醇だけどキレが良いなあ。でも、飲み慣れてきたら、濃さをあまり感じなくなった」

 次に、この酒をぬる燗にしていただく。温度は40℃ちょうど。さて、ぬる燗ができてきた。

 酒蛙「おっ、酸がさらに出てくるよぉ。う~ん、酸っぱい! 好きだなあ」

 店主「いいなあ。味が濃い。味が強い」

 酒蛙「辛みがすこし出てきた。全体的に味が強くなる」

 店主「甘も酸も冷酒のときより増して、濃くなる。苦みがちょっといいあんばいだ」

 酒蛙「うん、たしかに余韻は苦み。手ごたえ抜群の燗酒だ。甘旨酸苦濃醇酒。旨みがしみじみある」

 店主「実はこれ、夏酒なんですよ。仕入れるとき、夏酒で検索したら、これがヒットしたんです」

 酒蛙「え~~~っ!?マジかよぉ! こんなに濃醇なのに夏酒? あ、そうか。オンザロックで飲むことを前提とした設計なんじゃないのか?」

 ということで、次にこの酒をオンザロックにしていただいてみる。わたくしたちはこうして、おもいつくままに、さまざまな飲み方を試みる。わたくしたちに禁じ手は無いのだ。酒は、いったん蔵元さんの手を離れれば、あとは一人歩き。どう飲もうと飲み手の自由なのだ。期待を込めて、ロックをいただく。

 酒蛙「酸が出て、実に爽やか。別人格の酒になる」

 店主「酸が出て、すんげぇ飲みやすい。クセもない」

 酒蛙「あ、いいね、いいね。これ、やっぱり、オンザロック仕様の酒だとおもう」

 店主「本当にいいですね。いかにも夏酒だ。なんという爽やかさ。なんという飲みやすさ」

 冷酒も旨かった。ぬる燗も旨かった。オンザロックはさらに良かった。どんな飲み方をしても、それぞれの状況にぴたり合った味わいでこたえてくれる。こういう酒が、いい酒っていうんだろうな。もちろんこれは、わたくしの個人的な感想で、普遍的なものではないのはいうまでもない。

 蔵のホームページはこの酒を「軽快で爽やかなのど越し。旨味と酸味のバランスがとれた、食中酒として最適な味わいの純米酒です。生酒ならではの豊かに広がる香りとフレッシュな風味を存分にお楽しみください」と紹介している。

 また、蔵のフェイスブックはこの酒を「『八重垣 純米 生酒』は、生酒ならではの豊かに広がる香りとフレッシュな風味がこれからの暑い季節にぴったりの一本です。冷蔵庫でよく冷やし、旬の食材やお料理と合わせてお楽しみください」と紹介している。

 表ラベルに「創業寛文六年」(1666年)と誇らしげに印字している。かなりの老舗蔵である。ただ、裏ラベルの表記が「原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)、精米歩合65%」にとどめ、使用米の品種が非開示なのは残念だ。

 瓶の表ラベルがなかなかおしゃれ。優れたデザインだとおもう。

酒蛙