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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【1964】稲田重造 純米大吟醸 無圧しずく搾り(いなだしげぞう)【福岡】

2015.5.15 20:11
福岡県古賀市 翁酒造
福岡県古賀市 翁酒造

【日本酒研究会月例会 全5回の④】

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。フルメンバーは6人だが、今回はBが仕事のため欠席、5人での例会となった。

 店主は「きょうは福岡県のお酒特集です」と宣言。その通り、「天心 天の宙 純米吟醸」「亀の尾 吟醸 酒米壽限無100%使用」「筑後川 純米」に続き、4番目も福岡県のお酒「稲田重造 純米大吟醸 無圧しずく搾り」だ。いずれもまったく知らないお酒、まったく飲んだことのない蔵の酒だ。わたくしたちは無謀にも“全蔵制覇”を目標に掲げている。M居酒屋の店主がこの趣旨に賛同、わたくしたちの未飲蔵酒をせっせと集め、提供してくれているのだ。ありがたいことだ。

 このお酒のラベルを見たMが反射的に叫んだ。「トモミ!」。自民党の稲田朋美政調会長のことだ。うらさびれた地方都市の居酒屋で、政治とは縁もゆかりもない客から瞬間的に名が発せられるとは、稲田朋美さん、知名度が高いなあ。さすが、女性総理候補一番手、ともてはやされているだけのことはある。さて、この酒をいただいてみる。

 酒蛙「旨いっ! 吟醸香が出てくる」

 H 「そうそう、香るね」

 M 「これは旨い」

 F 「おいしいっ!」

 酒蛙「酸もあり、非常にいい。ひとことで言うと旨酸酒。まとまりやバランスが抜群だ」

 Y 「いいなあ、旨いなあ」

 M 「このお酒、クリーンヒットだね」

 「稲田重造」、全員から大好評だった。全員から大好評というお酒も珍しい。

 ラベルの表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合40%」にとどまり、使用米の品種は非開示にしているが、蔵のホームページでは使用米の品種を「宗像産米(糸島産山田錦を宗像で栽培)」と明らかにしている。

 この蔵にとって、「稲田重造」は最大の売りのようで、ホームページを見ると、以下のように大々的にPRし、人の目を引こうと努めている。

「福岡県の地酒『純米大吟醸酒 稲田重造』は、『水』『米』『製造工程』全てにこだわり、蔵人の熟練の腕と経験、その年の米の取れ高、天候、麹菌の状態等、様々な手間を一切惜しむことなく生産しています。そのため年間2,000本しかご提供することが出来ませんが、高い品質、味にムラのない豊潤な味わいをお約束いたします」

「福岡県の地酒『純米大吟醸酒 稲田重造』は、日本酒のイメージとして一般的であるフルーティーな香り高さはありません。それは、素材の味を引き立たせる為にあえて、香りをやや低めで作っているからです。また、飲み口も、一般的な日本酒のイメージである辛口ではなく、素材の味を引き立たせた豊潤な飲み口となっております」

「一般的には、最後に吟醸香を引き出すために少量の醸造アルコールを添加しますが、稲田重造は添加しておりません。また、素材の味を引き立たせる為にあえて香りをやや低くめで作っていますので、日本酒のイメージであるフルーティーな香り高さもありません。その分、飲み口は一般的な日本酒のイメージである辛口ではなく、素材の味を引き立たせた豊潤な飲み口となっており、辛口が苦手な方や、他の日本酒では物足りないが焼酎は苦手といった方々に喜ばれております」

 蔵のホームページでは盛んに香りを抑えてつくった、と強調しているが、じっさいに飲んでみると、わたくしたちの味覚基準では香りは立っている、と感じた。

 さて、なぜゆえにこのような酒名をつけたのだろうか? まっさきに考えつくのが杜氏さんか蔵元さんの名。近年、杜氏さんや蔵元さんの氏名をそのまま酒名にするところが、たまにある。が、違っていた。蔵のホームページは酒名の由来について、以下のように説明している。

「稲田重造とは、蔵人である安河内『重』人の酒『造』りへの思い、酒造りの基本となる『田』んぼ、実る『稲』穂の一文字づつ取って名付けました。名前だけでなく、米を作るところから出荷するまでのすべての酒造工程にもこだわり、毎年微妙に違う気温、米の質を蔵人の経験と技で補い、味、香り全てにこだわった自信作です!」

酒蛙

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