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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2040】栄光 松山三井 純米吟醸(えいこう)【愛媛】

2015.7.27 17:58
愛媛県松山市 栄光酒造
愛媛県松山市 栄光酒造

【I隊長と 全4回の③】

 Iさんは、陽気な元気印。いつも、ほがらかはつらつ。仕事を通して知り合った。山を案内してほしい、と請われ、これまでいくつかの山を案内してきた。登山のメンバーは次第に増え、最近は9人のパーティー。隊長はIさん、わたくしはガイド、という役回り。当然のことながら、登山が終われば反省会だ。つまり飲み会ね。飲むために登っているようなものだ、と家人にバカにされるが、あえて否定はしない。

 さて、反省会を何回かやるうち、ただ飲むだけなら面白くない、酒蛙が飲んだことのない蔵の酒を探してきて、酒蛙をぎゃふんと言わせよう、という方向になった。Iさんの会社のネットワークをフルに活用し今回、H居酒屋に持ち込んだのは4種類。うち3種類は、わたくしがまったく飲んだことのない蔵の酒。「おおっ、未飲蔵が3つもありましたか。あははは。愉快愉快」とIさんは楽しそう。

 まず、その未飲蔵の3種類からいただく。「無手無冠 特別純米」「藤娘 純米吟醸」と飲み進め、3番目にいただいたのは「栄光 松山三井 純米吟醸」。なぜかいずれも四国酒だ。

 原料米「松山三井」をどどーんとラベル中央に据えているのがユニークだ。「松山三井」は、愛媛県農事試験場が、母「近畿25号」と父「大分三井120号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された主食用米。食味が良いことから一時期、作付面積が全国1位だったこともある。しかし、大粒で粘りがすくないことから次第に衰退していった。しかし、大粒でタンパク質が少なく砕けにくい、という性質は、醸造用米としては最適。このため近年、醸造用米として注目され、いま“第二の人生”を歩んでいる。さて、いただいてみる。

 I隊長「淡麗なお酒だ」

 酒蛙「そう。淡麗辛口系だ。きょう飲んだ四国の酒3種類はいずれも淡麗酒で共通しておりびっくり。たまたまなんだろうけどね」

 K 「直前の『藤娘』より味がする」

 M 「フルーティーに感じる」

 T 「今風の味なんだろうか」

 E 「酸味が強い」

 酒蛙「柔らかい。苦みが非常に強い。酸は奥にすこしある」

 店主「ファーストアタックから苦みが出ている。珍しい入り方のお酒だ。飲んでいると、だんだん甘みが出てくる。中盤から余韻は辛み」

 A 「最初は甘く感じる」

 酒蛙「甘みはあるけど、旨みはすくない。辛みと苦みがある」

 店主「吟醸だけど香りがすくない」

 酒蛙「うん、香りはあえて抑えているような感じだ」

 F 「水の如しの飲みやすさ」

 いやはや驚いた。高知2種類、愛媛1種類のお酒全部が淡麗辛口系のお酒だったから。たまたまなんだろうけど、なんという偶然か。初めてのお酒をみんなで、ああでもないこうでもない、と言いながら飲むのは、実に楽しい。

 ラベルによると、原料米は愛媛県産「松山三井」100%で、精米歩合は50%。

 蔵のホームページはこの酒を「数々のコンテストで受賞暦を持つお酒です。愛媛の地酒です。愛媛県産の最高級米『松山三井』を100%使用し、醸造した純米吟醸酒です。淡麗な味わいの中に、ふくよかな旨みのただよう贅沢な美酒です」と紹介している。

 また、蔵のホームページは「松山三井の特長」として「大粒で精米機にかけたときに砕けにくく、精米歩合を極限までに高められると評判。品質のとてもいいキレのある酒ができ、いわゆる『淡麗辛口』なお酒に向いている愛媛原産の品種です。そして最大の特徴は、出来上がった商品価格がリーズナブルになることです」と挙げている。

 さらにホームページでは「杜氏からのご挨拶」として、以下の口上を載せている。「愛媛には松山三井と言うすばらしい米がある事に着目し、50%まで精米して純米吟醸酒を造りました。そして愛媛の米・水・人でこの様な酒が出来る事を全国の皆様に知ってもらう為、酒名は『松山三井』にしました」

酒蛙