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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2094】千代の亀 槽無垢 無濾過生原酒 純米吟醸 あらばしり(ちよのかめ ふなむく)【愛媛】

2015.8.30 16:09
愛媛県喜多郡内子町 千代の亀酒造
愛媛県喜多郡内子町 千代の亀酒造

【H居酒屋にて 全3回の③完】

 金曜日。会社から帰り、普段着に着替えて、歩いて近くのH居酒屋へ。目的の「鷗樹 生酛特別純米」を冷酒とぬる燗で飲んだので帰ろうとしたら、店主が「いま、Aさんが酒を持って店に来ます」。常連客のAさんは以前から、ある酒をわたくしに味わってもらい、感想を聞きたい、と言っていたんだそうだ。わたくしが来店したので、店主がAさんに電話をかけた、というわけだ。

 ほどなくしてAさんが酒瓶を2本抱えてやってきた。同僚2人もやってきた。まず飲んだのが、凍結酒の「千代の亀 秘蔵 しずく酒 長期熟成酒 純米大吟醸 生酒」だ。シャーベット状にしていただく。

 そして次に飲んだのは「千代の亀 槽無垢 無濾過生原酒 純米吟醸 あらばしり」だった。いかにも旨そうなラベルだ。グラスにそそいだら、うすにごりだった。まずは冷酒でいただいてみる。

 店主「香りフルーティー。樽香がする」

 酒蛙「旨いっ! 酸が立つ。酸がものすごく立つ。コメの旨みがたっぷりある。吟醸だけど吟醸香は抑えている。すごくアルコール感が強く感じる(ラベルをみたら17度だった。この数値以上にアルコールを感じた)。 醪(もろみ)の風味がたっぷりある」

 Aさん「そうそう、このクセ感がいいね」

 店主「酸がいい」

 酒蛙「濃醇酸味酒。かなり旨い。めちゃくちゃ旨い。辛みも出ている。これはいい酒だ。コメを飲んでいる感じ。まさしく酒がコメからできていることを具現化している」

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。温度はちょうど40℃。

 店主「すんげぇまろやかになる」

 酒蛙「旨みたっぷりで、酸っぱい」

 店主「すんごい! 辛みも苦みもない。酸と甘だけの、まるい酒だ」

 酒蛙「これは旨い」

 店主「かなり旨い。びっくりした。いい酒だ。バランスが良い。飲んでて、ほっとする」

 酒蛙「甘旨酸っぱくて、ふくよかで、いい」

 店主「クセもないし」

 蔵のホームページはこの酒を「米のほのかな甘味があり、後味が辛口でキレのよい味わい」と紹介しているが、「米のほのかな甘味」どころじゃない。たっぷりある。

 瓶のラベル表示は「原料米 松山三井100%、精米歩合55%」。

「松山三井」は、愛媛県農事試験場が、母「近畿25号」と父「大分三井120号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された主食用米。食味が良いことから一時期、作付面積が全国1位だったこともある。しかし、大粒で粘りがすくないことから次第に衰退していった。しかし、大粒でタンパク質が少なく砕けにくい、という性質は、醸造用米としては最適。このため近年、醸造用米として注目され、いま“第二の人生”を歩んでいる。

 せんだって、全国の、中小蔵の酒ばかりを集めた立ち飲み居酒屋に行ってみたら、この「千代の亀 槽無垢 無濾過生原酒 純米吟醸 あらばしり」もちゃんとあった。この激旨酒をその居酒屋に入れた人の眼力を讃えたい。

酒蛙

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