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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2171】福来 純米大吟醸 吟ぎんが(ふくらい)【岩手】

2015.10.22 21:11
岩手県久慈市 福来
岩手県久慈市 福来

【日本酒研究会月例会 全6回の③】

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。フルメンバー6人のうち、今回はBが仕事のため欠場したため、5人での研究会となった。

 店主が「望 純米吟醸 生原酒」「廣喜 純米吟醸 あらえびす」に続いて3番目に持ってきたのが「福来 純米大吟醸 吟ぎんが」だった。このお酒を持ってくるとき、店主が「岩手県久慈市のお酒です」と言ったものだから、わたくしたちは「うひゃ~、『あまちゃん』(NHKの朝ドラ)のふるさと久慈だああ。久慈にも地酒があったんだあああ」と、全員同じ反応。さて、いただいてみる。

 Y 「直前の『廣喜』同様、熟成感がいるね」

 F 「うむ、直前と同じ味だ」

 酒蛙「全くもって熟成感的昭和レトロ的風味は『廣喜』と似ているけど、『廣喜』より『福来』の方が、甘みがすくなく、酸味が無い。逆に辛みはある。余韻は辛み」

 H 「個人的には『廣喜』よりもこの『福来』の方が好きだ」

 Y 「大吟醸だけど吟醸香があまり感じられない」

 酒蛙「熟成感的昭和レトロ的風味が強い。旨みは適度にある。俺がイメージする大吟醸とはずいぶん違うタッチだ。『廣喜』よりは軽快で、さらりとした飲み口だ」

「廣喜」同様、昭和のお酒的な強い個性に、再び面食らうわたくしたちであった。岩手県では、こういう風味のお酒が好まれるのだろうか。これだけレトロ調なのだから、昔からの根っからの日本酒好きにはたまらない風味のお酒で、根強い固定ファンがいるのだろう。そうおもう。

 瓶のラベルによると、使用米は岩手県産「吟ぎんが」100%で、精米歩合は50%。「吟ぎんが」は岩手県農業研究センター銘柄米開発研究室が1991年、母「出羽燦々」(その母は「美山錦」、その父は「華吹雪」)と父「秋田酒49号」を交配、育成と選抜を繰り返しながら品種を固定、1999年に命名、2002年に種苗法登録された酒造好適米。

 蔵のホームページは「福来」に「幸せをよぶ酒」というキャッチコピーをつけている。なんてったって「福が来る」だからね。「いわておでれんねっと」というサイトは、「福来」の由来について、以下のように説明している。

「明治40年、酒造り開業の折り、どんな酒名にしようかと、親戚も交え相談していた時、よちよち歩きの可愛い盛りの『ふく』という名の子供が入ってきました。誰かが『ふくが来た!』と言い、その場がパッと華やいだそう。そこで飲む人・売る人・造る人に『福』が『来』るようにと『福来~ふくらい~』と命名されました」

 蔵のホームページはこの酒を「岩手県産初のオリジナル酒造好適米吟ぎんがを50%に精米し、県のオリジナル酵母で仕込んだ純米大吟醸。風土豊かな岩手県の大自然の逸品」と紹介している。県のオリジナル酵母とは「ゆうこの想い」のことだ。

 そのいきさつについて岩手県酒造組合サイトは以下のように説明している。「H5年から吟醸酒用酵母として頒布している“岩手吟醸2号酵母”の改良を行い、従来よりも吟醸香の生成が高く、酸の生成が低い2株を選抜しました。この2株をH20酒造年度に県内各酒造メーカーに試験的に頒布したところ、正式頒布を望む声が多く、H21酒造年度より、正式頒布が決定しました。そこで、新酵母の命名を第29回きき酒道岩手県大会の優勝者、準優勝者のお二方にお願いしました。実際に新酵母で醸したお酒を飲んでいただき、そこからイメージした名称をつけていただきました」

 こうして2010(平成22)年に名付けられたのは「ジョバンニの調べ」と「ゆうこの想い」だった。

 同組合のサイトによると「ゆうこの想い」について「女性的な温かさ・ぬくもりのある味・香りが特徴」とし、命名者の藤村惠一さん(第29回きき酒道岩手県大会準優勝者)は、命名のココロについて「やわらかく女性的な味わいを名前に表現しました。岩手のお酒に情熱を注ぎ、研究開発に携わった人たちのお酒への思い。そして、飲む方『YOU(あなた)』の様々な思い『この想い』をお酒とともに巡らせて欲しいという願いを込めて」と述べている。

酒蛙