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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2197】瑞鷹 芳醇 純米(ずいよう)【熊本】

2015.11.21 0:40
熊本県熊本市 瑞鷹
熊本県熊本市 瑞鷹

 2泊3日の長崎旅行をしたとき、酒屋さんなどで酒を買い求め、自宅に送った。今回の「瑞鷹 芳醇 純米」もその1つ。JR長崎駅付近の西友で買った。その夜に飲むカップ酒を探していたら、偶然、この酒を見つけた。わたくしにとって、まだ飲んだことのない蔵の酒だったので、迷わず買った。

 後日、自宅で、家飲み晩酌酒としていただいた。まずは冷酒で。上立ち香と含み香はともに、やや熟成感的昭和レトロ的風味(コメを炊き上げたときのような香りやナッツ香とも例えられる)。甘みがあるが淡麗。不思議なタッチだ。ふつうは辛口淡麗なのだが…。辛みと酸がともに感じられない。余韻も甘み。甘みがじわじわ残る。甘み旨みの割合はほとんどが甘み。やわらかく、ふくよかで淡麗。飲み進めていたら、余韻に苦みを感じるように。そして、飲み進めていったら、超甘口タイプに。甘みと熟成感的昭和レトロ的風味コラボレーションとなった。激超個性的なお酒だった。

 甘いクリームチーズと合わせると、酒の甘みが相殺されるのではないだろうか。そのような仮説を立て、試しに合わせてみたら、ずばり予想通り。酒の甘さが消え、すこし辛みが出てきた。わたくしの舌にとっては、バランスが非常に良くなった。しかし、甘口の酒の甘みを消して飲むのは、やはり邪道だろうな。

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。湯煎で温度はちょうど40℃。

 甘みが、さらに強くなる。ぬる燗を飲む前は、隠れていた酸が出てくるのでは、と予想したが、外れた。酸は出て来なかった。ここでもクリームチーズと合わせてみたら、冷酒のとき同様、辛みが出てきた。これも邪道だろうが、わたくしの舌にとっては良かった。酒は基本的に、蔵から出荷されてからは、どんな飲み方をしてもいいのだ。飲み手の自由なのだ。

 酒をまったく飲まない奥さまが、「わたしにもちょうだい」と言ったので、冷酒を猪口1杯分だけあげた。感想は「わたしには飲みやすい」だった。

 表ラベルには、以下のように書かれている。

「凛と冴えわたる大気、こんこんと湧く名水、選びに選んだ酒造米

蔵人の心意気も熱く伝統が醸す芳醇の酒」

 また、蔵のホームページはこの酒を「厳選した九州産のお米と阿蘇の伏流水、温暖な熊本の風土が育てた芳醇にしてまろやかな味わいの純米酒です」と紹介している。ラベルも、ホームページも、この酒を「芳醇」としているが、わたくしの舌には芳醇というよりは淡麗と感じた。もっとも熟成感的昭和レトロ的風味も芳醇の範疇に入るのだとしたら、芳醇な酒であることには違いないが…。ただ「まろやかな味わい」は、まったくその通りだとおもった。

 ラベルの表示は「原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)、精米歩合65%」にとどまり、使用米の品種が非開示なのは残念。しかし、蔵のホームページでは「原料米 レイホウ他」と開示している。ラベルにもそう書けばいいのに。「レイホウ」は、農林水産省九州農業試験場作物第1部作物第1研究室が1959年、母「ホウヨク」と父「綾錦」を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1969年に命名された。

 ところで「瑞鷹」という酒名の由来についてホームページは以下のように説明している。

「『熊本を代表する、熊本で初めての清酒を作ろう』。初代吉村太八は、慶応3年、いち早く清酒の製造にとりくみました。それから約20年後、明治22年の元旦の朝のことです。太八が、酒蔵の戸をあけ、新春の光を蔵に入れようとしたとき ふいにばたばたと何かがとびこんできました。目をこらしてよく見るとそれは雀を追って舞い込んだ鷹だったのです。鷹は、羽ばたきも勇ましく、蔵の中をとびまわりました。『正月の鷹・・・なんとめでたい瑞兆だろう』と太八は、大きな希望を感じたのでした。瑞鷹の酒銘はここに始まったもので、清酒瑞鷹は名実ともにめでたい酒でございます」

酒蛙

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