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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2200】萬勝 純米吟醸 はねぎ搾り(ばんしょう)【長崎】

2015.11.23 21:30
長崎県南島原市 吉田屋
長崎県南島原市 吉田屋

 2泊3日の長崎旅行をしたとき、酒屋さんなどで酒を買い求め、自宅に送った。今回の「萬勝 純米吟醸 はねぎ搾り」もその1つ。長崎市の、通りすがりに見つけた酒屋さんで買った。「萬勝」については、長崎市内の和食処で、「萬勝 本醸造」をすでに飲んでいる(詳しくは当連載【2180】)。

「萬勝 純米吟醸 はねぎ搾り」の感想を述べる前に、蔵のホームページから転載し、「はねぎ搾り」の説明をする。

「さて、撥ね木搾りという技法ですが、てこの原理を応用した圧搾による酒搾りの方法で、巨大な一本の木(約8メートル)を天井からつるし、その重みとてこの原理によって微妙な圧力をかけて丁寧に搾り上げます。

その製法ですが、簡単に説明いたしますと、まず酒袋にもろみ(発酵したお酒のもと)をつめて、槽(ふね)と呼ばれる大きな枠の中に敷き並べます。その上から蓋をし、巨木(撥ね木)を使って圧力を掛けて搾り出します。

この巨木(撥ね木)をうまくコントロールしながらもろみを搾りだしていく作業には大きな阿弥陀車を使いますが、この作業も当然ながら手作業。圧力のかかり具合をじっくり見ながら少しずつ調整します。機械やコンピューターなど一切使いませんから、職人としても最も緊張する瞬間でもあります。

さらに1トンもの重石を乗せ、じっくりと搾り出される原酒は独特なふくよかな味わいとなっていきます。この方法は吉田屋が創立した大正6年からはじまりましたが、時代の流れと共に一度は途絶えていましたが、10年程前に復活させた方法です。

そして、搾り出された搾りたての日本酒は、大きなタンクの中に貯蔵されて一定期間熟成されます。温度を一定に保ち、お酒をさらに育て上げるのが大切な仕事です。

現在の日本酒の製法の多くは、機械によって自動圧搾されていますが吉田屋では昔からのこの【撥ね木搾り】を守り続けています。

この方法によって作られる日本酒は、機械による搾りとは違い、とてもまろやかな、そしてゆくよかな味わいになります。昔から伝わる伝統と技術をいつまでも守り続け伝えていきたいと思います。

   ◇

この撥ね木搾りという方法は、酒造り・酒蔵経営においては極めて効率の悪い方法です。機械で搾らないために完全に搾りきることが出来ませんし、手間と時間がかかってしまうため、この手法は現在の日本にはわずかしか残っていません。しかし、『搾りきらない』ことによって、最後に残る嫌な味を搾り出さず、『純』な味わいの酒が生まれてくるのです。また『手間』という目に見えない力と愛情が一杯の酒に注がれているからこその味わいも楽しんで頂ければ幸いです」(以上、蔵のホームページからの転載)

 さて、「萬勝 純米吟醸 はねぎ搾り」を飲んでみる。まずは冷酒で。ファーストインパクトは独特な風味を持つ甘み。複雑で表現不可能な味。しかし、すぐに口に慣れ、独特な風味が目立たなくなる。吟醸香はほのか。旨み適度。おっそろしくキレが良い。あっという間にいなくなる。酸が前に出てくる。余韻は苦みに辛みがすこし混じる。基本的に軽快感があり、さっぱりすっきり感がある。温度がすこし上がったら、甘みが前に出てきた。

 次に、ぬる燗でいただいてみる。湯煎で温度は40℃。辛い。冷酒のときはいなかった辛みが俄然出てくる。この辛みと独特な甘みのコラボに、酸も適度に出てくる。ひとことで言うと甘辛酸酒。キレは相変わらず非常に良い。余韻の苦みがあまり出てこなくなる。甘みも冷酒のときほどには出てこないが、しっかりある。吟醸香が冷酒のときより出てきて、やや華やかなたたずまい。

 瓶のラベルの表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合60%」にとどまり、使用米の品種が非開示なのは残念だ。

 ラベルにはまた「東京農業大学短期大学部醸造学科分離株 撫子酵母使用」と書かれている。蔵のホームページは、なでしこ酵母の特徴として「洋なしを思わせるフルーティな香りのなかに、バランスよくふくよかな味わいを醸します」を上げている。

 そして蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「なでしこの花酵母を使用し、はねぎの槽で搾ったお酒です。アルコール度が14度と若干低いので、飲みやすいと評判です。香りが華やかなやや甘口タイプなので女性に人気です」

酒蛙

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