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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2202】杵の川 特別純米(きのかわ)【長崎】

2015.11.24 23:04
長崎県諫早市 杵の川
長崎県諫早市 杵の川

 2泊3日の長崎旅行をしたとき、酒屋さんなどで酒を買い求め、自宅に送った。今回の「杵の川 特別純米」もその1つ。長崎市の、通りすがりに見つけた酒屋さんで買った。

 各地の地酒を集めた居酒屋で、長崎県の地酒というと「六十餘洲」が代表的で、「福田」もけっこう目にするが、「梅ケ枝」同様「杵の川」はお目にかかれない。しかし、長崎市内の酒屋さんを回れば、「杵の川」や「梅ケ枝」を置いているところがかなり多い。逆に「福田」はお目にかかれず、同じ福田酒造の酒であれば「長崎美人」や「福鶴」が酒屋さんでよくみかける。なかなか面白い現象だ(もっとも以上のことはわたくしがそうおもっただけの話で、じっさいは違うかもしれないことをお断りしておきます)。

 ということで、わたくしが「杵の川」を見たのはこれが初めて。自宅の冷蔵庫で冷やし、家飲み晩酌酒として飲んでみた。まずは冷酒から。

 さらりとしている。香りはかなり抑えている。最初のインパクトは「水の如し」で、さらりすっきりした綺麗な酒。ほかにほとんど感じない。しかし、飲み進めていくと、やや人工的で独特な甘みがすこし出てくる。旨みはすくない。酸もほとんど出てこない。辛みもほんのすこし。多少苦みが出てくる。余韻は甘苦という、非常に珍しいタイプのお酒だった。

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。湯煎で温度は40℃ちょうど。甘みが出て、冷酒のときよりさらに軽快になる。中盤から、奥にごくわずか酸が出てくる。冷酒のときにすこし出てきた苦みは出て来ない。辛みはごくわずか。甘軽快という飲み口の、ぬる燗だった。

 瓶の裏ラベルはこの酒を「米本来の芳醇な旨みと、後口の良さを併せ持った飽きのこない純米酒です。濃厚な味付けの料理と相性の良い芳醇旨口のお酒に仕上げました」と紹介。また、蔵のホームページは以下のように紹介している。「厳選された酒米と、多良山系の伏流水で仕込んだ芳醇な純米酒です。最高級の酒米であります山田錦と、長崎県産レイホウを使用し、爽やかな香りの ある芳醇で旨口の純米酒に仕上げております。濃厚な味付けの料理に特に相性の良い純米酒です。甘辛度:普通 おいしい飲み方:冷や、常温相性の良 い料理:焼き鳥(タレ)」

 瓶の表示は「原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)、精米歩合55%」にとどまり、使用米の品種が非開示なのは残念だが、蔵のホームページでは、「山田錦」と「レイホウ」と開示している。ラベルでも開示してほしかった。

「レイホウ」は、農林水産省九州農業試験場作物第1部作物第1研究室が1959年、母「ホウヨク」と父「綾錦」を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1969年に命名された。当連載【2176】で紹介した「∴本陣 純米」も使用米は「レイホウ」、今回の旅行で、長崎市内の西友で買った「瑞鷹 芳醇 純米」(熊本市)も「レイホウ」を使っていた。九州では「レイホウ」を使う蔵が多いのだろうか。

酒蛙

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