メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2338】仙介 特別純米 しぼりたて 無濾過生原酒(せんすけ)【兵庫】

2016.3.1 22:26
兵庫県神戸市 泉酒造
兵庫県神戸市 泉酒造

 なじみのH居酒屋の店主から連絡が入った。「新しいお酒が4本入りました」。で、日曜日の夕方、近所のH居酒屋へ歩いて出掛けた。わたくし、H居酒屋の酒メニューをボランティアでつくってあげているのだ。

 酒名だけのメニューだとお客さんは選択に困る。そこでせんだって、各酒に1行コメントをつけたメニューを作ってあげたのだが、これが好評。そのメニューの改訂版をつくるため、新しく入った4本のテイスティングに足を運んだのだ。

 4本の中で印象に残ったのが「仙介 特別純米 しぼりたて 無濾過生原酒」だった。含むや「おおっ!?」と声に出た。香味それぞれが、めちゃくちゃ主張していたからだ。まずセメダイン香(わたくしの好きなベンゼン環芳香族系の芳香)が非常に強く出ており、酸が非常に立つ。力強い。微発泡も強い。チリチリプチプチ感がすごい。白ワインをおもわせる。甘旨が適度で、清涼感・フレッシュ感がある。実にユニークな酒質。やんちゃな酒といってもいい。おもわず笑ってしまった。

 その4日後、会社の同僚2人とわたくしとの計3人で、飲み会を開いた。場所はH居酒屋。なぜこの飲み会がH居酒屋で開かれたかについては、本筋ではないので省略。2人に、「仙介」のやんちゃぶりを知ってもらいたい、とおもい、ビールのあと、まずは「仙介」を飲んだ。ところが、様子が変わっていたのだ。

 酒蛙「あれれ??? セメダイン香がすこししかいなくなった。微発泡もすくなくなった。開栓すれば次第に微発泡がすくなくなるのは当たり前だが、なぜセメダイン香が激減したのだろう???」

 同僚M「あはは。やんちゃ坊主が丸くなって大人しくなったか?」

 酒蛙「たった4日でこんなに変わるのか??? それはともあれ、酸が非常にいい。この酸に旨みが絡まっている印象。この酸がさわやか感を演出している。甘旨みもしっかりある」

 店主「味が濃くなったかも」

 酒蛙「甘旨酸っぱい。タッチは軽からず、濃からず、中庸の飲み口。とろみあり、まろやか、ふくよか。う~ん、とんがったところが無くなった。Mさんが言うように、やんちゃ坊主が大人になったよ」

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。この酒は、直観的に燗向きではないのでは、とおもったが、わたくしは初めての酒は燗酒でも飲む主義なので、飲んでみる。温度は、湯煎で40℃。

 酒蛙「ややや、セメダイン香が出てきたあ! 眠っていたセメダイン香が起きてきたああ」

 同僚M「きた、きた、きたああ! やんちゃ坊主が」

 店主「おもいっきりセメダイン香が出ている。うめぇ~なぁ~」

 酒蛙「酸が非常に立つね」

 店主「酸が奥歯に来る」(ん? 店主は虫歯か?)

 酒蛙「甘みがすくなくなった」

 店主「うん、甘みが無くなった。ちょっと辛みが出てきた」

 ぬる燗にしたら、甘旨みが隠れ、セメダイン香・酸・辛が中心の味わいになった。いささかバランスに欠ける飲み口。やっぱり予想通り、このお酒は冷酒の方が整った味わいを楽しめる、とおもった。

 裏ラベルによると使用米は、兵庫県産「山田錦」20%(麹米に使用)と、兵庫県産「五百万石」80%(掛米に使用)で、精米歩合は65%。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「しぼりたての新酒を(無濾過)を1本1本手詰めした、フレッシュなお酒です。兵庫県産の平成27度新米を使用。新酒独特のフレッシュな香りとコクがあり、旨みのある味わいをお楽しみください」

 今回の泉酒造のお酒は以前、「琥泉 純米吟醸 夏の原酒 一火」(当連載【1218】で紹介済み)を飲んだことがあるが、これも今回同様、個性派のお酒だった。

酒蛙