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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2395】金滴 純米吟醸 北海道新幹線開業(きんてき)【北海道】

2016.4.25 23:43
北海道 金滴酒造
北海道 金滴酒造

 北海道新幹線が3月26日に開業した。東京駅と北海道・函館市が、乗り換え無しの新幹線で結ばれた。開業すれば、さぞかし観光客が大勢、函館に押し寄せるのではないか、にぎわう前に函館に行かなきゃ、と猿知恵を働かせ、開業の2週間前、ただ毛ガニを食べる目的だけのために、函館に行った。

 函館市内は、旗やら何やらで、新幹線開業を前にナニカ熱気のようなものが感じられる。観光客が多くいるわけではないが、街を歩くと、なんとなく浮き立つものが感じられる。

 そして帰りのJR函館駅。お土産売り場をのぞいたら、見つけた。「純米吟醸 北海道新幹線開業」を。新幹線の絵をあしらったラベル。こてこてのお土産酒。蔵元さんの狙いに乗って、おもわず買った。

 帰宅してから、晩酌酒としていただいた。この手の観光客目当てのお酒で、驚くほど旨い酒に出会ったためしがない。今回も、どうせ、ふつーの酒か、ふつー以下の酒なんだろうな、と全く期待しないでいただいた。ところが、これが“常識破り”の旨酒だったのだ。

 まずは冷酒で。さわやかな酸。これが第一印象。旨み適度、辛みも適度。後味がとくにすっきりしており、キレの良さ抜群。軽めで、さっぱり。やや辛口だが、やわらかさもあり、甘みも。香りほのかで、すこしフルーティーな味わい。全体的にやさしく、バランスが非常に良い。余韻は酸味と甘旨。ほんのわずかにある苦みがいい。酸がさわやかなので、飲み飽きしない。食中酒に最適。企画モノだから、と侮っていたが、ごめんごめん悪かった、と謝るしかない。こんないい土産酒を造ると、観光客の印象が格段とよくなる。そして函館のファンになる。リピーターなる可能性だってある。地味だが最強の観光対策。金滴酒造の真面目な姿勢に感動した。

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。

 甘みが俄然出てくる。酸味も相変わらず出ている。軽めのタッチは冷酒のときと変わらず。木のような香りがして、非常にいい感じ。まるで樽酒そのもの。冷酒とはまったく別ものにおもえるようなドラスティックな変わりようだった。グリコではないが「一粒で二度おいしい」である。

 瓶のラベルの表示は「原材料米 北海道産酒造好適米、精米歩合55%」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。蔵のホームページでは「主要原料米 新十津川産米 吟風」と開示している。全国の観光客が手にするだろう商品だから、ここはホームページの表示のように瓶ラベルでも開示すべきだろう。開示することによって、より真摯なおもいが伝わるとおもう。

「吟風」(ぎんぷう)は、北海道立中央農業試験場が1990年、母「八反錦と上育404号の子」と父「きらら397」(主食用米)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に品種登録された、北海道で栽培されている酒造好適米だ。

 蔵のホームページはこの酒の特徴を「新十津川の米・水・人を活かした酒造りを行い、新十津川産酒造好適米『吟風』をメインに空知産の酒造好適米を多く使い、全量道産米で仕込んでいる。手造りの少量生産にこだわり、一つ一つ丁寧に仕込んでいる。非常にサラリとした感じの咽喉越しの良い、キレの良い純米吟醸酒」と紹介している。

 また同ホームページはこの酒のコンセプトを「すっきりとした中にも巾のある、やや辛口の旨さ」としている。

酒蛙

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