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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2396】国士無双 純米大吟醸 北海道限定(こくしむそう)【北海道】

2016.4.26 17:19
北海道旭川市 高砂酒造
北海道旭川市 高砂酒造

 北海道新幹線が3月26日に開業した。東京駅と北海道が、乗り換え無しの新幹線で結ばれた。開業すれば、さぞかし観光客が大勢、函館に押し寄せるのではないか、にぎわう前に函館に行かなきゃ、と猿知恵を働かせ、開業の2週間前、ただ毛ガニを食べる目的だけのために、函館に行った。

 泊まったホテルの土産コーナーで酒4種類を買い、宅配便で自宅に送った。家飲み晩酌づかいにするためだ。その一つが、今回の「国士無双」。わたくし、この酒名をたいそう気に入っている。「正宗」が付くものでは「鮎正宗」(長野県)、正宗が付かないものでは「国士無双」が、わたくしのお気に入り酒名ナンバーワンだ。「国士無双」。麻雀を連想するが、カッコいいではないか! 以上は、あくまでもわたくし個人的な好みである。さて、自宅夕食のお供として、冷酒でいただいてみる。

 ややフルーティーでやや熟成感がある香り。これが第一印象。このやや熟成感的昭和レトロ的風味が終始、ベースに流れる。この風味、大好きな人が多いとおもうが、わたくしは苦手だ。

 さて味わいは、甘み・旨み・酸・辛みが一体となって口の中に広がる。余韻は、これら四味に苦みが加わる。余韻の中では酸が一番長く続く。酸と辛みがあるため、けっこうしっかりとした味わい。芳醇で、ふくよか感もある。香りがやや抑えられ、いかにも純米酒的なタッチ、さらに、酸が出ていて飲み飽きしないタイプなので、食中酒に最適とおもった。

 瓶の裏ラベルはこの酒を「北海道産酒造好適米『彗星』を100%使用し、高精米した純米大吟醸酒。洋梨を思わせるようなフルーティーな香りと穏やかな口当たりが特徴です」と紹介している。また、蔵のホームページはこの酒を「北海道産酒造好適米『彗星』を100%使用。北海道の酒米を北海道で醸し、北海道の四季と自然をまるごと封じ込めたこだわりの一本」と紹介している。

 原料米は北海道産米「彗星」100%で、精米歩合は45%。「彗星」(すいせい)は北海道立中央農業試験場が1996年、母「初雫」と父「吟風」を交配。育成と選抜を繰り返して品種を固定。2006年に命名、2006年に種苗法登録された酒造好適米。

 また、蔵のホームページは、「国士無双」がわが国の酒造業界に与えた影響と、酒名にまつわるエピソードを紹介している。長文だが、興味深い内容なので、以下に転載する。

   ◇

■淡麗辛口ブームに火をつけた「国士無双」ブランド。

 昭和50年の誕生以来、男性的かつ爽やかな辛口の旨さで評判になった「国士無双」。中国の史記に由来するその名は今からおよそ2200年前、漢の時代に活躍したとして武勇伝が残る将軍・韓信を「国士無双(天下に二人といない傑出した人材)」と称えたという逸話にちなんだもの。天下に二つとない酒、後世に語り継がれるような酒に、との願いを託して三代目蔵元が命名いたしました。

 現在、「国士無双」の銘柄名で展開しております酒は、大吟醸酒から季節限定酒まで全10数種。日本酒の流れを変えたと言われるその酒は、誕生から四半世紀を越え、その味はますます磨かれ、研ぎ澄まされて、全国の皆様の喉と心を潤しています。

 「国士無双」が誕生するまで、昭和30年代から40年代にかけて、清酒は甘口が主流でした。それは当時の嗜好というよりはむしろ時代の流れ。終戦後、ほとんどの酒造メーカーが、少ない原料米から少しでも多くの酒を造ろうとしてアルコール度数を上げ、水で薄めていたため、辛口の酒しかなかった昭和20年代から昭和30年代初頭。その反動で、原料の心配がなくなってくると、清酒は一気に甘口へと転じました。甘口全盛時代はしばらく続きましたが、その後、昭和40年代半ばになって酒の味や品質があらためて問われ始めるようになり、高品質な辛口の酒へのニーズが高まっていきました。そんな時代の流れをいちはやく掴みとり、高砂酒造が一念発起して世に送り出したのが辛口清酒「国士無双」なのです。

■ネーミングにまつわるエピソード

 「国士無双」というネーミングを考案したのは、三代目蔵元である小檜山亨。中国の歴史家・司馬遷の『史記』の中の韓信列伝から引用した「国士無双」というこのネーミングは、大雪山の雪清水と凛冽な北国の寒気が醸す男性的な辛口清酒のイメージを印象づける上で非常にインパクトがあり、一度聞くと忘れられない名として好評を博しました。しかし、英雄の武勇伝よりはむしろ麻雀の十三公九で連想される方が多く、三代目蔵元は後に、国士無双という満貫役名の云われを調べ、諸説を尋ね歩いたと言います。

 そのインパクトのあるネーミングにふさわしい、まさに天下に二つとない酒「国士無双」。高砂の看板銘柄である「国士無双」は、こうして誕生からすぐに一人歩きを始め、たくましく市場を切り開いていったのです。

酒蛙

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