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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2472】理可 純米吟醸(りか)【島根】

2016.6.26 11:45
島根県大田市 一宮酒造
島根県大田市 一宮酒造

【K立ち飲みにて 全11回の①】

 酒友徳ちゃんの仕事場の近くに、名の知られた立ち飲み店がある。徳ちゃんと半年に1回のペースで飲みに行っており、今回が3回目。アテは各人持ち込み、とのことなので、近所のスーパーで乾きモノを買い入店する。有名地酒蔵の酒はいっさい無く、あまり知られていない中小蔵の酒を中心に置いているのが好ましい。

 冷蔵庫の中に林立する一升瓶の中から、飲んだことがない酒を選んで飲む。最初に選んだのは「理可 純米吟醸」。この蔵の酒は以前、同じK店で「石見銀山 特別純米」(当連載【2246】)を飲んだことがある。これはどうか。

 徳ちゃん「甘みがあるけど、べたつかない」

 酒蛙「かなり濃醇だ。存在感のある飲み口。しかもくどくない」

 徳ちゃん「美味しい」

 酒蛙「甘旨酸っぱくて、濃醇フルボディー。中盤から辛みが出て、余韻も辛み。これは旨い」

 徳ちゃん「これは驚いた」

 店長「女性蔵元さんが醸したお酒です」

 酒蛙「すごいな。女性が醸したとはおもえない。これ、男酒だよ。しっかりした味わい。強い味だ」

 正直に言って、予備知識ゼロで、あまり期待をしないで飲んでみたが、これが大当たりだった。期待しないで飲んだら激旨酒だった、というときは、ものすごく得した気分になる。この女性杜氏さんの今後を大いに期待したい。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「女性杜氏を目指す蔵元三姉妹の次女『理可』です。当時見習いの身でありながら酒質設計からさせてもらい、タンク1本だけ仕込みました。まだまだ手探り状態ですが、今後に向けての第一歩を踏み出した所です。NEWブランドの商品、愛情たっぷり想いがたくさん詰まったお酒です」

 蔵のホームページはこの酒を「すっきりと辛口でキレの良いお酒です」と紹介しているが、じっさいに飲んだ印象では、すっきりとは真逆の濃醇な酒質だとおもった。1000人いれば1000人の味覚が違うので、このような乖離はよくある話である。

 裏ラベルの表示は「原料米名:改良八反流100%、精米歩合60%、酒質 濃醇辛口」。

 蔵のホームページは「改良八反流」について、以下のように説明している。

「日本酒発祥の地である島根県。その地のみで栽培されていた酒米”という特異なルーツは、そんなロマンを抱かせるに十分である。八反流はおいしいお酒にはなるものの、穂が高く倒れやすく、病気にも弱かったため、徐々に栽培の担い手がいなくなり、いつしか有数の好適米の中から姿を消すことになった。

そして長い年月を経て、幻の米と言われるようになった。しかし、そんな幻の米が幾年もの時を経て、平成7年、ついに〝改良八反流〟として現代に蘇った。12人の米作り名人の手によって、再び島根の地に姿を現したのである」

酒蛙