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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2637】岩波 零ノ参式 無濾過低温熟成酒 秋あがり(いわなみ)【長野】

2016.12.10 17:49
長野県松本市 岩波酒造
長野県松本市 岩波酒造

 会社から帰宅、普段着に着替え、近くのH居酒屋へ。今回は「岩波」を飲むことにする。この蔵の酒を飲むのは初めて。というのは、わたくしが飲んだことのない蔵の酒を店主が探し、店に入れてくれたからだ。ありがたいことだ。感謝、感謝、だ。

 今回、「岩波」を飲む1週間ほど前に、テイスティングのため、同じ酒を冷酒でいただいている。このテイスティングは、1行コメント付きの酒メニュー表をつくるためだ。酒名だけずらり並んだメニューを見ても、ほとんどのお客さんはどんな酒なのか分からない。H居酒屋では、お客さんのために、酒質を1行で紹介する酒メニューを出しており、そのコメントを書くのはわたくしの役目、というわけだ。

 テイスティングのため「岩波 零ノ参式 無濾過低温熟成酒 秋あがり」を1週間前に飲んだときの感想は以下の通り。

 酒蛙「さらっとした飲み口だが、味が舌に残る」

 店主「酸が出ている」

 酒蛙「厚みはあまり無い」

 店主「普通に飲める」

 酒蛙「酸はあまり感じないなあ。さほど特徴というか個性が無い、さっぱりとした飲み口だ」

 店主「いたって普通です。これ、普通酒なんです」

 酒蛙「えーーーーーーーっ?????」

 店主「普通酒にしては値が張ります」(苦笑)

 1週間後、今度はこの「日本酒津々浦々」の記事を書くため、飲み直す。まずは冷酒で。デキャンタ効果で、味わいが変わっている可能性があるので、冷酒の飲み直しだ。

 酒蛙「基本はさらっとしているけど、タッチがやわらかくなった」

 店主「軽い。無濾過だけど、厚みが無い」

 酒蛙「甘みと旨みがすこしあるけど、酸と辛みが感じられず、メリハリが無いようにおもえる」

 店主「酸が無く、さらっとしている。飲みやすい。普通酒とはおもえない。アルコール添加だけど、アルコール臭は感じられない」

 酒蛙「そうだね。普通酒にありがちな、独特な臭みがなく、クセも無い。きれいなお酒だ」

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。わたくしはH居酒屋で飲むときは、冷酒とぬる燗の“往復”で飲むことにしている。冷酒だけでその酒を判断することはできないし、燗酒だけでその酒を判断することもできない。だから“往復”。そのためにわたくしは、H居酒屋に、私物の「ちろり」を常駐させている。さて、ぬる燗ができた。湯煎で温度は40℃ちょうど。

 酒蛙「やわらかい。辛みがすこし出てきた」

 店主「すこし熟成感が出てきた」

 酒蛙「余韻に辛みが出てきた」

 店主「たしかに辛みが出てきた。味が、いいあんばいに広がってきた」

 酒蛙「この酒、燗の方がいいね。やさしい辛みがいい」

 店主「絶対に燗酒の方がいい。味がふくらむ」

 酒蛙「やわらかくて、甘みと旨みが適度に出てきた。でも、燗にしても酸が出て来ないなあ。これはこれで、いいんじゃないかな。酸が嫌いな飲み手も多いし」

 店主「う~ん、酸が無いと味気ないかな」

 瓶のラベルの表示は「原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール」。この酒は、レギュラー酒である普通酒「岩波 佳撰」の無濾過バージョン、とするネット情報がある。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「零ノ参式。『岩波』では三番目の無濾過の酒。搾ったまま手を加えず、加熱殺菌のみを行い冷蔵タンクでじっくり熟成させました。もともと酒の中に存在する多くの旨味成分をそのまま残し、過熱にならない様に低温で大切に育てました。より多くの旨味成分を含む無濾過酒の品質に万全を期すため、出荷時にも火入れをします。ですから『ひやおろし』とは呼びません。『秋あがり』を突詰めたらこの酒になりました。刻の流れと蔵人の愛情が育てたお酒です」

酒蛙