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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2652】二兎 純米 山田錦65 一回火入(にと)【愛知】

2016.12.25 16:15
愛知県岡崎市 丸石醸造
愛知県岡崎市 丸石醸造

 日曜日の夕方、ふらりと近くのH居酒屋へ。店に新しく入った「白真弓」「天井川」「長寿金亀」「忍者」「鈴正宗」のテイスティングが目的だ。

 このテイスティングは、1行コメント付きの酒メニュー表をつくるためだ。酒名だけずらり並んだメニューを見ても、ほとんどのお客さんはどんな酒なのか分からない。H居酒屋では、お客さんのために、酒質を1行で紹介する酒メニューを出しており、そのコメント書きはわたくしの役目、というわけだ。

 5種類の酒をテイスティングしたあと、「二兎」を飲む。このお酒は丸石醸造が醸したもの。同蔵の酒は以前、「丸石謹製 山田錦五割五分 純米吟醸 原酒 七号酵母 無濾過」(当連載【2272】)を飲んだことがある。

 テイスティングのため「二兎 純米 山田錦65 一回火入」を1週間前に飲んだときの感想は以下の通り。「旨みを伴う甘みの次に酸が来て、エンディングは苦み。甘いけれど酸がいい。全体的に甘旨酸っぱい。バランスの良い酒」

 1週間後、今度はこの「日本酒津々浦々」の記事を書くため、飲み直す。まずは冷酒で。

 酒蛙「甘旨酸っぱい」

 店主「本当だ。キレが良い」

 酒蛙「ふくよか、やわらか、きれい、旨っ!」

 店主「いいっ! 甘みがきます」

 酒蛙「甘旨酸っぱくて、軽い甘みがいい。全体的に若干軽め。バランスが非常に良い」

 店主「さっぱりしている」

 酒蛙「温度が上がってきたら、甘みよりも酸が出てきた。さっぱり、すっきりしたタッチで、いいね」

 次に、ぬる燗にして飲んでみる。ちろりを使い、40℃まで上げる。たちまち40℃まで上がる。

 酒蛙「酸が出てくる」

 店主「苦いっ!」

 酒蛙「酸が強い」

 店主「酸っぱい」

 S 「これはこれで美味しい。冷酒のときより酸を感じますね」(S夫妻が入店、わたくしたちの話に加わった)

 店主「酸と辛みが立っている」

 Sの奥さま「辛みが、より出ていますね」

 酒蛙「苦みも出ている。旨いね」

 店主「かなり旨い」

 酒蛙「冷酒の方がバランスが、より良いかな」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「軽快な中に広がる山田錦特有の柔らかさと旨味(甘味)を感じながら、しっかりとした酸を帯び味を引き締めます。燗でも一層楽しめるお酒です」

 裏ラベルの表示は「原料米:山田錦100%使用、精米歩合65%」。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「穏やかに感じる旨みと包み込むように入り込む酸味。シャープで切れの良い旨みと豊かな含み香を感じる落ち着いた味わい。常温からぬる燗がおすすめです」

 ところで「二兎」という酒名の由来はなんだろう、と疑問が起きる。これについて、蔵のホームページが「二兎コンセプト」と題し、以下のように説明している。

「二兎の焦点、それは〝二兎追うものしか二兎を得ず″。『味』と『香』、『酸』と『旨』、『重』と『軽』、『甘』と『辛』。二律背反する二つのコトガラが最高のバランス・味わいになるように試行錯誤を繰り返し、丸石の酒造りに合う米を『雄町』と『山田錦』の二つに選びました。雄町は純米大吟醸酒・純米吟醸酒のクラスを…。キレイでいて旨味と甘みを豊かに感じ、そして余韻の軽さを求めています。山田錦は純米吟醸酒・純米酒のクラスを…。味わいがゆっくりと心地よく広がり、軽快な余韻が長く楽しめる酒を求めています。雄町と山田錦という全国的にも有名なお米を、古くより酸と甘さにこだわり日本酒を育ててきた丸石醸造が、丸石醸造のベクトルで雄町と山田錦を追求します」

 蔵のホームページによると、創業は元禄3年(1690年)とかなり古い。

酒蛙

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