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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2774】大七 純米 生酛 CLASSIC(だいしち)【福島】

2017.3.5 10:28
福島県二本松市 大七酒造
福島県二本松市 大七酒造

【名誉唎酒師任命式典にて 全6回の④】

「第13回名誉唎酒師酒匠・第2回名誉唎酒師任命式典」(主催・NPO法人FBO=料飲専門家団体連合会/日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会=SSI)がこのほど、東京のホテルで開かれ、わたくしも関係者の一人として出席した。神事・セレモニーのあとは直会。大勢の関係者が集い、にぎやかな直会だった。

 そのとき、ウェルカムドリンク的に冒頭、振る舞われたのが「人気一 スパークリング瓶内発酵 純米吟醸」。そして乾杯酒は、「祈水 吟醸」。あとは数本のお酒が各テーブルに立った。その中から「玉乃光 純米大吟醸 祝 京の紫」に続いて「大七 純米 生酛 CLASSIC」をいただいた。

「大七」は燗酒が旨い印象が強く、以前、「大七 純米 生酛」(当連載【988】)を冷酒とぬる燗でいただいたことがある。「CLASSIC」は初めて。興味津々でいただいてみる。

 含み香は熟成香がむんむん。甘旨酸っぱい飲み口で、とくに酸が出ている。生酛由来の酸か。旨みたっぷり。骨太で、厚みがあり、ボリューム感があり、力強い酒。同じ意味の言葉の羅列だが、そう書きたくなるほどの濃醇さだった。生酛由来とおもわれる凝縮感のある奥深く複雑な旨み。余韻は酸と辛み。キレが良い。明らかに燗酒向き。燗酒にして飲みたかったなあ、とおもった。

 瓶の裏ラベルは、この酒について、以下のように紹介している。

「大七でなければ出会えない味わいがあります。それが『純米 生酛 クラシック』。熟成によって練り上げられた濃密さと深い陰影。そして冴えわたる古典的な格調と快い余韻。惜しみなく時間をかけたお酒だけが到達できる、雄大かつ豊麗な世界。深く心を満たす、この上なく上質な時間をお楽しみいただけます。和洋を問わず、コクと旨味のある料理、まったりしたクリーミーな料理と最高の相性です。15-20℃の室温でも美味しく召し上がれますが、特に40-45℃のお燗をお奨めいたします」

 豊かな語彙による的確な紹介文。かなりの手練れな書き手だと感嘆した。

 裏ラベルには大きな字で「濃醇」と書かれている。

 また、ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合69%」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

「純米 生酛」と「純米 生酛 CLASSIC」とでは、どこがどう違うのか。これについて、蔵のホームページは以下のように説明している。長文だが、そのまま転載する。

「『純米生もとCLASSIC』。-CLASSICが意味するところは、この酒が古き良き伝統に敬意を払っているということであり、また古典として後世に残したい姿を強く意識しているということです。

近年、日本酒がどれもこれも淡麗化して面白みがなくなったという声が聞かれます。かつての醸造家たちが理想と考え、杜氏達が心血を注いでめざした酒は、そのようなスタイルとは全く違ったものでした。彼らは何よりも味わい深い酒、濃醇で力強く、それでいて洗練された清々しい後味の酒を追求していたのです。

 大七は、このような理想を決して古びたものとは思っておりません。それどころか世界に目を転じれば、今なおそれは醸造酒の理想とされる姿の核心を突いています。

 私共は、今まで以上にスケール豊かかつ濃醇な旨酒を、時間の制約なしに造り上げたいと考えました。なぜなら味わいに幅のある濃醇な酒ほど、熟成して円みを帯びるまで長い時間を要するため、通常の商品生産サイクルの中では不可能だからです。大七の平均的な貯蔵期間は約1年、純米生もとでは1年~1年半と、すでに一般よりもかなり長いのですが、このお酒の場合はたっぷり2年~2年半の熟成期間を待ち続けることになります。

 90年代後半から開始したこの試みは、千年紀最後の年に商品として実を結びました。常温で召し上がっていただくと、どこまでも濃密に旨みが詰まっているかのような味わいで、従来の限界を超えて次々と合わせる料理の発想が浮かんできます。そしてお燗ともなれば、口の中での拡がり、ボリューム感は、他のどんなお酒も物足りなく感じてしまうほどです。冷たく冷やすとこの豊饒感が損なわれるため、お奨めではありません。

 醸造する上で最も苦心したのは、十分濃醇に旨みを引き出しながら、鈍重さやざらつきなどは出さないということ。これは長期にわたる濃厚な仕込みの中でも最大限の活性と純度を失わない、精強な酵母群なくしては実現できません。これこそが生もとの力です。私共はこのお酒を、大七の生もと造りのひとつの到達点と考えています」

 また、酒名「大七」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「福島県二本松市。名峰、安達太良山麓の美しい自然は、日本三井戸の一つ『日影の井戸』をはじめとする、豊かな名水をこの地に授けました。伝承によれば、清和源氏に連なる太田家は寛永年間(1624-1643)に伊勢国より三人兄弟で二本松に来住したといわれ、それぞれに酒造業を営み、やがて領内で最高格の商人となりました。明和の三郎兵衛好重、村上源氏の来歴をもつ安永の長左衛門豊春らが家勢を大いに盛り立て、好重の子、三良右衛門が分家し、宝暦二年(1752年)に現在の大七酒造を創業しました。これを始祖として、三代目以降は七右衛門を襲名するようになり、以後、十代目の今日まで、酒造り一筋に発展を遂げています。初期の酒銘『大山』は、後に七右衛門にちなむ『大七』と改称されました」

酒蛙