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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2816】萬歳 純米生酒 六割磨き(ばんざい)【愛知】

2017.3.25 14:46
愛知県岡崎市 丸石醸造
愛知県岡崎市 丸石醸造

【B居酒屋にて 全2回の②完】

 旧友Tが、わたくしと飲むため、東京からやってきた。中国人の友人Sさんと二人で。Sさんは、大相撲の琴欧州と飲み比べをした、という剛の者。各自、飲みたい酒を勝手に注文することにする。

 わたくしは、「超王祿 無濾過中取り」(当連載【1537】)、「七本鎗 純米吟醸 垂れ口 直汲 生原酒」と飲み進め、3番目にいただいたのは「みむろ杉 特別純米 辛口 露葉風 無濾過生原酒」【2410】。そして、最後4番目に飲んだのは「萬歳 純米生酒 六割磨き」だった。

 丸石醸造のお酒はこれまで「丸石謹製 山田錦五割五分 純米吟醸 原酒 七号酵母 無濾過」(当連載【2272】)と「二兎 純米 山田錦65 一回火入」(当連載【2652】)を飲んだことがある。酸が立ちふくよかなお酒、という好印象を持っている。このお酒はどうか。

 甘旨酸っぱい。これが第一印象。甘旨酸の中で、甘みが一番よく出ている。酸味、甘み、旨みのバランスが良い。香りを抑え気味。ふくよか、やわらか。分厚くて濃醇、しっかりとした味わいで、味に幅がある。ジューシー。う~ん、これは旨いっ!

 瓶の裏ラベルはこの酒の味わいについて「綺麗な甘みとフレッシュな酸が踊る。甘みはしっかりと厚く、存在感のある酸が甘みを引っ張ります」と紹介している。まさしく、その通りだとおもった。

 また、裏ラベルは、この酒のコンセプトについて、以下のように説明している。句読点が無いので、実に読みにくいが、原文のまま掲載する。

「伝統 文化 歴史 創業320年

丸石醸造が育んできたものは『酒と云うものではなくこの地が生み出す自然と人との繋がり』農家の方々地域の人々きれいな水 美味しい空気全ての環境に感謝すること私たちは100年前の米【萬歳】の復活にその思いを込めて造ります」

 この中で、100年前のコメ「萬歳」の復活、に目がとまった。このコメを知らなかったからだ。さっそく、蔵のホームページを見たら、「萬歳」について、以下のように説明していた。

「『萬歳』は、元来、ごはんとして食べる“食用米”の品種で、清酒製造に適するか不明なため、あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センターへ酒米分析を要請しました。酒造りに使用する他の原料米『大地の風』、『雄町』と比較したところ、『萬歳』は、清酒製造に適した“酒造米”の『雄町』に劣らない優れた特性を有することがわかりました」

 あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センターと愛知県産業労働部産業科学技術課が、「復刻米『萬

歳』を使用した純米大吟醸酒が完成」のプレスリリース資料(平成27年1月23日付)について、「大正天皇ゆかりの大嘗祭について」と「『萬歳』の復刻について」の項で興味深いことが書かれているので、以下に転載する。

     ◇

■大嘗祭について

大嘗祭は、天皇即位の際、大嘗宮の悠紀殿、主基殿に初めて新穀を供え、国家・国民のためにその安寧と五穀豊穣などを感謝し祈念する儀式で、大正天皇の大嘗祭では、悠紀の地は愛知県、主基の地は香川県が選ばれました。そして、県内候補地から碧海郡六ツ美村(現岡崎市中島町)の水田が悠紀斎田として選ばれ、悠紀斎田で作られた米「萬歳」が、大正4年(1915年)11月の大嘗祭に献納されました。

現在も、これを記念する「六ツ美悠紀斎田お田植えまつり」が、毎年6月に開催されており、岡崎市の無形民俗文化財に指定されています。また、平成27年は、大嘗祭から100周年にあたることから、地域での記念事業も企画されています。

■「萬歳」の復刻について

「萬歳」は、その後、栽培が途絶えていましたが、県農業総合試験場に種もみが保管されていることを知った地元の農家が、平成20年に種もみ10gを譲り受け、試験的な栽培を再開しました。平成25年に、六ツ美悠紀斎田保存会が、再度、県農業総合試験場から種もみを入手して本格的な復刻に取り組み、平成26年には玄米 2,400kg を収穫しました。

     ◇

 瓶の裏ラベルの表示は「原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)、精米歩合60%」。

 表ラベルの「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」が目を引く。有名な句なので、作者を知ろうと調べてみたが、詠み人知らず、だった。

 丸石醸造の主銘柄は「徳川家康」「三河武士」。ラベルでもサイトでも「創業元禄3年(since 1690)」を強調している。

酒蛙

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