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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2862】昇龍蓬莱 生酛特純 渡船60(しょうりゅうほうらい)【神奈川】

2017.4.18 23:14
神奈川県愛甲郡愛川町 大矢孝酒造
神奈川県愛甲郡愛川町 大矢孝酒造

【P居酒屋にて 全9回の⑨完】

 ある飲み会の新旧メンバー5人が集まって、久しぶりに飲むことになった。場所は、わたくしなじみのP居酒屋。ここの店長は、わたくしが飲んだことのない蔵の酒を用意し、わたくしを喜ばせてくれる。今回は、千葉県の酒を中心に、わたくしの未飲蔵酒を用意してくれた。ありがたい。感謝感激だ。

「長命泉 吟醸純米」「花いちもんめ 吟醸」「大多喜城 特別本醸造 原酒 生貯蔵」「飛鶴 特別純米 上望陀」「國生みの雫 淡路幽宮御領酒 特別純米 生貯蔵」「峯の精 旨辛吟醸」とわたくしにとっての初蔵酒をいただいたあと、次からは既飲蔵酒。「大典白菊 純米 トリプルA 直汲み 無濾過生原酒」「残草蓬莱 特別純米 四六式 特別純米 槽場直詰 無濾過生原酒」に続いて店長が最後9番目に持ってきたのは「昇龍蓬莱 生酛特純 渡船60」だった。

 店長は、この酒をいきなりぬる燗で持ってきた。店長は、自分の判断で、この酒はぬる燗の方がいいだろう、としたのだろう。考えてみれば、わたくし、「昇龍蓬莱」を飲む機会が多いが、このうち4種類(今回も含むと5種類)をぬる燗で飲んでいる。期せずして、店長もわたくしも、「昇龍蓬莱」はぬる燗の方がいい、という考えで一致していることが分かった。なんだか、心が通じ合っているような気持になりうれしかった。さて、今回のぬる燗をいただいてみる。

 酒蛙「酸がすごく出ている」

 K 「酸っぱいですね。やわらんでいます」

 S 「フランスパンを食いたい!」(ホットワインをイメージしているのか)

 酒蛙「白ワインの燗酒みたいだ。俺の好きなセメダイン香(ベンゼン環芳香族系の芳香)が出ている」

 S 「酸っぱさが際立っている」

 酒蛙「これは旨い!!! 酸味酒大好き人間のわたくしとしては、ストライクど真ん中の酒だ。飲み飽きしない。食中酒に最適だ」

 瓶の裏ラベルの表示は「茨城県産『渡船』100%使用、精米歩合60%」

「渡船」について、茨城県石岡市の酒蔵「府中誉」のホームページは以前、「幻の酒米『渡船(わたりぶね)』を復活 地元産の酒米で真の地酒をめざす」と題し、以下のように説明している。

「明治・大正期の酒米『渡船』は山田錦の親にあたる品種で、背丈が高い上に収穫時期が遅く(10月末)、病中害(ママ。病虫害だとおもう)に弱いなど栽培は容易ではないため、作付けは途絶えておりましたが、酒造りに最適な超軟質米であることが知られておりました。弊社は、平成元年、つくば市の生物資源研究所から貴重な種籾一握りを分けて頂き、全国で唯一、地元つくば山麓の谷津田で丹念に復活栽培して参りました。

 この米で仕込んだ清酒『渡舟』は、他の酒米のそれにはない、独特のふくよかな香味の酒としてご評価いただいております。

 平成8年・10年には、酒米『渡船』で醸した『大吟醸渡舟』は、全国新酒鑑評会にて金賞の栄を賜りました」(【酒蛙注】山田錦の父親は、一般的には「短稈渡船」とされている)

酒蛙