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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2928】飛露喜 純米大吟醸 生詰(ひろき)【福島】

2017.6.10 22:39
福島県会津坂下町 廣木酒造本店
福島県会津坂下町 廣木酒造本店

【Z料理店にて 全6回の④】

 夕方、ふらりと近所のZ料理店へ。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないだろう酒を用意してくれるから、月に1回は訪れ、その厚意に報いなければならない。店主としても、わたくしに餌を与え、定期的に訪れるように、との深慮遠謀。それが見え見えなのが楽しい。

 今回、わたくしが飲んだことがない酒は6種類あった。それらを飲む。「辨天 純米大吟醸 生原酒 出羽燦々」「ささまさむね 特別純米 生酒」「初孫 苗の息吹 生酛純米生原酒 出羽の里」と飲み進め、4番目にいただいたのは「飛露喜 純米大吟醸 生詰」だった。

 この酒は、客の目に触れる冷蔵庫に入れていたのではなく、厨房の冷蔵庫から出してきた。店主いわく「目に触れると、あっという間に無くなってしまうからね」。要するに、わたくしや酒好きの客のための“隠し酒”である。うれしい配慮だ。

「飛露喜」というと、濃醇系の、重厚感がある、味がしっかりした酒というイメージがある。しかし、この酒は、それまでのイメージを覆すものだった。

 上品。さらり、すっきり。これが第一印象。驚いた。とにかく驚いた。軽快感のある、さらり、すっきりした「飛露喜」を飲むのは初めてだったからだ。目隠しして飲むと、「飛露喜」とは分からないかも。そうおもう。香りは抑え気味。酸が出て、苦みも出ている。ほどよい酸味、ほどよい旨み、ほどよい苦み。このほどよさが良い。とにかく上品。バランスが良い。余韻は酸と苦み。う~む、あれも飛露喜、これも飛露喜か。

 瓶の裏ラベルによると、原料米は山田錦100%使用、精米歩合は麹米40%、掛米50%。以下の親切な説明文が掲載されている。「生詰とは、搾った直後に火入れをしてタンクに貯蔵したお酒を、瓶詰め時に火入れ殺菌を行わずそのまま詰めたお酒です」。一般には分かりにくい用語をこのように説明する姿勢を高く評価したい。

酒蛙