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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2929】山本 純米吟醸 生原酒 7号酵母(やまもと)【秋田】

2017.6.11 19:48
秋田県山本郡八峰町 山本
秋田県山本郡八峰町 山本

【Z料理店にて 全6回の⑤】

 夕方、ふらりと近所のZ料理店へ。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないだろう酒を用意してくれるから、月に1回は訪れ、その厚意に報いなければならない。店主としても、わたくしに餌を与え、定期的に訪れるように、との深慮遠謀。それが見え見えなのが楽しい。

 今回、わたくしが飲んだことがない酒は6種類あった。それらを飲む。「辨天 純米大吟醸 生原酒 出羽燦々」「ささまさむね 特別純米 生酒」「初孫 苗の息吹 生酛純米生原酒 出羽の里」「飛露喜 純米大吟醸 生詰」と飲み進め、5番目にいただいたのは「山本 純米吟醸 生原酒 7号酵母」だった。

 この蔵の主銘柄は「白瀑」(しらたき)。この蔵は2005(平成17)年に杜氏制を廃止し、蔵元の山本さんが自ら酒造りを始めた際に立ち上げたセカンドブランドが「山本」である。今では、全国的知名度は「山本」の方がはるかに上回り、主銘柄的存在に成長している。

 わたくしも「山本」を飲む機会がけっこうあり、当連載では7種類の「山本」を紹介している。「山本」は、ひとことで言うと、甘旨酸っぱく、しっかりした味わいのイメージが強く、わたくしは好感を持っている。さて、この酒はどうか。

 ピリピリ微発泡がすごい。スイーツデザート的な甘み。これらが第一印象。この甘みに酸が絡み、甘酸っぱくジューシーな飲み口。余韻は酸。酸がいい感じで出ており、全体にメリハリを与えている。きれい感がある。温度がすこし上がってきたら、味が広がり、ふくらんできた。シャープ感があり、キレが良い。

 この酒は、6号酵母で醸した酒と併せ、飲み比べ的に世に送り出されている。蔵のホームページはこの酒を「6号と同様に香りは控えめですが、当社の水や造りに合っているのか全体のバランスは毎年とても良いです」と紹介している」と紹介している。

 封緘ラベルによると、原材料名 米(国産)・米麹(国産米)、精米歩合55%、アルコール分15度。使用米の品種名が非開示なのは残念。酵母違いで飲み比べをしてもらうのなら、同一使用米だとおもうのだが、それならなおのこと品種名を開示した方がいいとおもう。蔵元さんに再考を促したい。せっかくおいしいお酒なのだから。

 7号酵母は、「真澄」で知られる、長野県諏訪市の宮坂醸造で見つかった。同蔵ホームページの年表には「1946年、大蔵省醸造試験場の手で真澄酒蔵から優良清酒酵母(協会7号)が発見される」と書かれている。発酵力が強く、穏やかな吟醸香を持ちきれいな酒をを生み出す7号酵母は、現在も多く使用されている酵母の一つでで、とくに吟醸酒の発展に大変大きな役割を果たした。

 清酒業界に大きな貢献をしたのは、6号酵母(秋田・新政蔵発祥)、7号酵母(長野・真澄蔵発祥)、9号酵母(熊本・香露蔵発祥)の3種類で、現在の清酒の多くは、これらの酵母か、そのバリエーションで醸されている。

酒蛙