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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【2930】賀儀屋 純米吟醸 無濾過生原酒 袋吊りおりがらみ 番外編(かぎや)【愛媛】

2017.6.11 21:03
愛媛県西条市 成龍酒造
愛媛県西条市 成龍酒造

【Z料理店にて 全6回の⑥完】

 夕方、ふらりと近所のZ料理店へ。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないだろう酒を用意してくれるから、月に1回は訪れ、その厚意に報いなければならない。店主としても、わたくしに餌を与え、定期的に訪れるように、との深慮遠謀。それが見え見えなのが楽しい。

 今回、わたくしが飲んだことがない酒は6種類あった。それらを飲む。「辨天 純米大吟醸 生原酒 出羽燦々」「ささまさむね 特別純米 生酒」「初孫 苗の息吹 生酛純米生原酒 出羽の里」「飛露喜 純米大吟醸 生詰」「山本 純米吟醸 生原酒 7号酵母」と飲み進め、最後6番目にいただいたのは「賀儀屋 純米吟醸 無濾過生原酒 袋吊りおりがらみ 番外編」だった。

「賀儀屋」は、わたくしが顔を出す居酒屋に近年、よく置かれている酒で、飲む機会が多い。当連載でも5種類を取り上げている。甘旨酸っぱくて、しっかりした味わいの酒、というイメージを持っている。さて、この酒はどうか。いただいてみる。

 グラスに注ぐとうすにごりであることが分かる。果実のような香り。やさしい甘旨みと、酸と苦みが出ている。おいしい。上品で、やわらかなタッチ。やや濃醇で甘旨酸っぱい。余韻の酸がいい。ボリューム感のある旨みもいい。レベルの高さが分かる。う~む、実においしい。これはいい。

 このお酒は、「賀儀屋 純米吟醸黒ラベル」と「賀儀屋 純米大吟醸緑ラベル」をそれぞれ袋吊し、最後にブレンドしたもの。スペックは、「賀儀屋 純米吟醸黒ラベル」の原料米は「松山三井」で、精米歩合は50%、「賀儀屋 純米大吟醸緑ラベル」の原料米は「しずく媛」で、精米歩合は45%。ブレンドした全体のアルコール分は17-18度。

 瓶の首に掛けられているタグは、この酒を以下のように紹介している。

「伊予賀儀屋では毎年新酒が出来た春先にだけ、二種類の『番外編』と呼ばれるお酒をリリースさせて頂いております。いずれも自由な発想の中、『お酒をもっと楽しく、もっと面白く』と想いを込めて生まれたお酒達。全てご予約頂いた数だけしか瓶詰出来ない為、数量に限りは御座いますが、通常の伊予賀儀屋定番品とは違うお酒の表情や背景、そして日々熟成向上していく姿などをお楽しみ頂ければ幸いです」

「賀儀屋 純米吟醸黒ラベル」の原料米「松山三井」は、愛媛県農事試験場が、母「近畿25号」と父「大分三井120号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された主食用米。食味が良いことから一時期、作付面積が全国1位だったこともある。しかし、大粒で粘りがすくないことから次第に衰退していった。しかし、大粒でタンパク質が少なく砕けにくい、という性質は、醸造用米としては最適。このため近年、醸造用米として注目され、いま“第二の人生”を歩んでいる。

「賀儀屋 純米大吟醸緑ラベル」の原料米「しずく媛」は愛媛県農林水産研究所農業研究部が1999年、酒造好適米「松山三井」の細胞培養による突然変異株を得、育成と選抜を繰り返し開発。2010年に品種登録された新しい酒造好適米だ。

 酒名「賀儀屋」の由来について、蔵のホームページは「蔵元屋号から命名された伊予賀儀屋。1877年(明治10年)誕生。鍵屋本家9代当主、首藤鹿之助によって酒造りはこの地で始まりました」と説明している。

酒蛙