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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3562】南部美人 純米大吟醸 心白 山田錦(なんぶびじん)【岩手県】

2018.9.23 21:02
岩手県二戸市 南部美人
岩手県二戸市 南部美人

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、なぜかわたくし係になっている仲居さんが、店主おすすめのお酒を持ってきた。今回は「南部美人 純米吟醸 心白 山田錦」だった。

「南部美人」は飲む機会が多い酒で、今回の酒を含め、当連載で9種類を取り上げている。淡麗できれいな酒質ながら、旨みや酸味が感じられ、しっかりとした味わい。わたくしの好きな銘柄の一つだ。さて、今回の酒はどうか。いただいてみる。

 やわらかな甘みが旨みを伴ってふくらむ。すぐに辛みが来て、余韻までずっと続く。この辛みがけっこう強い。ドライな辛みではなく、ちゃんとした辛みなのが良い。口の中で転がし、甘旨みを味わっていると、吟醸香がほのかに出てくる。このさりげないほのかさが良い。酸は最初のうちはあまり感じられなかったが、飲み進めていくうちに、乳酸的な味わいの酸がじわじわ出てくる。酸が出て来ると、力強さ感が出てくる。余韻は辛・酸。きれいで上品感のある、美味しいお酒だった。

 瓶の裏ラベルに「形状 新たに生まれたこと ふっくら輝く 心白 おおらか」と書かれているが、情緒・観念的に過ぎてさっぱり意味が分からない。ちなみに、心白(しんぱく)は、コメの中心部の白く不透明な部分で、でんぷんを多く含み、隙間が多い。この心白が大きければ、麹菌が良く繁殖し、良質の麹ができる。

 瓶のラベルの表示は「使用米 山田錦100%、精米歩合50%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分16度」。

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「フランスの日本酒審査会 KURA MASTER-le grand concours de sake japonais de Paris 2017において、純米大吟醸部門で『プラチナ賞』を受賞しました! ラベルは酒米の心白をイメージしたデザインです。山田錦特有の華やかな吟醸香と柔らかな旨味のある味わいが、非常にバランス良くまとまった純米吟醸です」

 蔵のホームページに記されているこの酒のスペックは「原料米 山田錦、精米歩合50%、仕込水 折爪馬仙峡伏流水(中硬水)、酵母M310、日本酒度+4、アルコール度数16~17度、酸度1.6」。

 また、ラベルに「KJ」マークがある。これは、ユダヤ教の教義に厳格に従った食品である「コーシャ」の認定を受けたことを意味する。

 ところで、瓶のラベルには「南部美人 心白」しか書かれていない。つまり特定名称の区分が書かれていない。ただ、蔵のホームページには「純米吟醸」と書かれていたので、今回はそれに従った。ホームページで純米大吟醸と区分を明らかにしているのなら、瓶のラベルにもそう表示すべきである。

 酒名および蔵名「南部美人」の由来について、蔵のホームページの年表は、以下のように説明している。

「1951(昭和26)年。三代目・秀雄の『これからは良い酒を造らなければ』という強い信念から、南部杜氏の雇用を始める。当時の二戸税務署長の指導のもと、淡麗できれいな酒の味を『美人』に例え、南部藩という地名と合わせて『南部美人』と命名した」

酒蛙

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