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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3556】日置桜 強力 純米 八割搗き(ごうりき)【鳥取県】

2018.9.17 23:01
鳥取県鳥取市 山根酒造場
鳥取県鳥取市 山根酒造場

【K居酒屋にて 全13回の⑧】

 酒友の唎酒師Nさん・Dさんと半年ぶりの飲み会。いつもは、TT居酒屋で飲み会を開いてきたが、TT居酒屋が店を閉めたため、Nさん推薦のK居酒屋で開いた。酒を1合単位では出さない店で、激しいカルチャーショックを受けた。長い居酒屋人生で初めてのこと。フロアには、知識豊富な20歳代女性の日本酒ナビゲーターがいて、あれこれ教えてくれる。お酒はすべて彼女に任せて飲むことにする。

「神蔵 七曜 純米大吟醸 無濾過生原酒」「月山 芳醇辛口 純米 無濾過生原酒 おりがらみ」「木内 純米吟醸 生酛造り 生原酒 しぼりたて」「瀧自慢 純米吟醸 雄町 本生」「悦凱陣 純米吟醸 ブルーボトル 無ろ過生」「李白 やまたのおろち 超辛・特別純米 黒ラベル」「玉川 特別純米 強力 無濾過生原酒」に続いて彼女が持ってきたのは「日置桜 強力 純米 八割搗き」だった。

「日置桜」は今回の酒を含め、当連載で4種類を取り上げている。今回の酒はどうか。

 N 「ずいぶんさらっとしているような・・・」
 D 「酸が出ている。個性的な香味だ」
 酒蛙「酸が立っている。旨みは適度にある。甘みはすくない。熟成感があるね」
 D 「たしかに熟成感がありますね」
 酒蛙「けっこうな辛口酒だろうが、旨みが適度にあるので、辛さのカドが丸くなり、それほどの辛さには感じない。ただドライなだけで旨みが無い嫌味な辛口酒でないのがいい」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「玄米中の粗蛋白成分が7%以下という特別栽培米を使用しております。そのため低精米酒にありがちな雑さは見られません。むしろ米に由来する滋味が存在し、食欲を掻き立てます。無濾過のまま熟成させておりますので、淡い山吹色をしております」

 裏ラベルの表示は「原料米 強力(使用比率100%)、精米歩合80%、日本酒度+13.0、酸度2.6、使用酵母 協会7号、酒米生産者 高田昭徳(蔵人)、詰口年月2017年11月、28BY、お勧めの飲み方 熱燗◎ ぬる燗○、原材料 米(鳥取産)米麹(鳥取産米)、アルコール分15.0度以上16.0度未満」。

 使用米の「強力」は復刻米。「いなば鶴 純米 生酛 強力 無濾過生原酒」(鳥取県鳥取市 中川酒造)の箱に入っていた蔵のしおりは、「強力」について、以下のように説明している。

「『強力』は大正時代に鳥取県立農業試験場により在来種から選抜育成され、特産酒米として一時期には六千余町歩も生産されていました。
 強力米の歴史は古く、『山田錦』の祖先と言われている優良酒米『雄町』の更なるルーツであるという説もあります。
 昭和20年代の食糧難の時代、反当たりの収穫量の少なさ、尋常でない背丈、大粒の為倒伏の危険といった理由から、特産酒米『強力』は姿を消しました。(中略)
 鳥取大学農学部で、永年、少量だけ育種、保存されていた種籾から、やっと、わずかではありましたが、単一品種醸造ができる量まで収穫することができました。
 低タンパクな米質を重視するため、低収穫量を覚悟の上で減農薬・低窒素肥料などを心がけ、見事、酒米『強力』は復活しました。その強力米と清らかな水を使った地酒がここに蘇りました」

 酒名「日置桜」の由来について、コトバンクは「酒名は、所在地の旧称を日置郷といい、桜の名木があったことに由来」と説明している。

酒蛙

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