メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3538】車坂 山廃純米吟醸 生酒(くるまざか)【和歌山県】

2018.9.1 22:23
和歌山県岩出市 吉村秀雄商店
和歌山県岩出市 吉村秀雄商店

【B居酒屋にて 全6回の⑤】

 会社から帰り、ふらりと近くのB居酒屋へ。前回暖簾をくぐってから、1カ月ほどたっている。そろそろ冷蔵庫の酒を入れ替えているはずだ。そうおもいながら暖簾をくぐった。まだ飲んだことのない酒が数本入っており、冷蔵庫の中に鎮座していた。

 その中から「磐城壽 山廃純米 生原酒」「あぶくま 特別純米」「山川光男 2018なつ」「花陽浴 純米吟醸 美山錦 無濾過原酒 瓶囲 瓶燗火入」と飲み進め、5番目に選んだのは「車坂 山廃純米吟醸 生酒」だった。

「車坂」は今回の酒を含め、当連載で4種類を取り上げている。個人的にはこの蔵の「車酒」「鉄砲隊」は熟成している酒、という強烈なイメージを持っている。今回のお酒はどうか。

 含むとともに「う、う、うめぇ~~」とおもわず声に出る。含み香は菌類的木香的古紙的。やや濃醇で旨酸っぱい。非常にしっかりとした味わい。酸が良い。余韻の苦みもいい。バランスよく上手に造っている酒だと感じた。しっかりした味わいながら飲み飽きしないタイプなので、食中酒に適している、と感じた。また、フレッシュ感のあるきれいな酒質だったことに驚かされた。

 瓶の裏ラベルの表示は「古来の原理を用いた山廃仕込みの純米吟醸で、しっかりとした酒質でありながら、吟醸造りのきれいさを併せ持っています」。

 また、裏ラベルのQRコードに誘導されたスマホ画面の、「山廃仕込みの力強さ、吟醸仕込みの透明感」と題した、この酒の紹介文は以下の通り。

「山廃酛で、吟醸の仕込みにしております。酒質の強さ、なおかつ麹・仕込みを吟醸にしており、軽やかさがありながら力強い味わいを感じることが出来ます。生酒らしく豊かでリンゴ、パイン系のジューシーな香り。含みにバナナ系の吟醸香。吟醸仕込みで原酒でもAL16度台。そのせいかなめらかな口当たりで、ほどよい旨味と酸味のバランスが良く、後半にも押しのある味わいを感じます。味の余韻を残しながらも、やはり吟醸らしいきれいさ、キレのよさがあってするすると飲み続けられるお酒です。若干、渋味も感じますが、食中においてはそれが口中をよりすっきりとしてくれます」

 瓶の裏ラベル表示の表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合55%、アルコール分16.0、製造年月2018.5」。

 また、QRコードに誘導されてスマホ画面に表示されたスペックは「精米55%、麹 山田錦、掛 美山錦、酵母901、アルコール度16.4度、日本酒度+3、酸度1.6、アミノ酸度1.0」。

 酒名「車坂」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「車坂は小栗判官が熊野に向かう際、通ったといわれる坂。熊野の地は古くから死霊が集まる死者再生の聖域とされ、男女の別、貴賎を問わず多くの参拝者を受け入れました。熊野に詣でれば病苦から逃れられ、たとえ途中で行き倒れても来世で救われる、また道行く人々と助け合うことが死んだものへの供養になると信じ長旅の苦しみを分かちあいました。小栗判官の伝説は、こうした熊野の地が生み出した『死と再生の物語』なのです。労苦を癒し喜怒哀楽と共にある日本酒。人それぞれが日々向かい合う坂。頑張ろう日本再生の願いを込め車坂と名付けました。」

酒蛙

関連記事 一覧へ