メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3523】与右衛門 夏ぎんが 純米吟醸 無濾過生原酒(よえもん)【岩手県】

2018.8.15 23:08
岩手県花巻市 川村酒造店
岩手県花巻市 川村酒造店

【S居酒屋にて 全10回の④】

 Mうなぎ屋で飲み会を開いた。プロ野球デーゲーム観戦の前夜祭だ。5人でそれぞれ7種類のお酒をいただき、KとわたくしはS居酒屋に転戦した。この店は、酒友Oから紹介されたものだ。Oは、いくら飲んでも表情一つ変えない。だからわたくしは、彼を鉄仮面と呼んでいる。鉄仮面が推薦した店だから間違いはないだろう、と暖簾をくぐった。すぐに、いい店であることが分かった。

「秋鹿 純米大吟醸 レトロラベル」「小左衛門 Dessin 根っこ 生」「秀よし 純米吟醸 ひまわり」に続いて4番目に選んだのは「与右衛門 夏ぎんが 純米吟醸 無濾過生原酒」だった。

「与右衛門」は飲む機会が多い酒で、今回の酒を含め当連載でこれまで、14種類を取り上げている。わたくしの好きな、バナナ香にも似たセメダイン香(ベンゼン環芳香族系の芳香)が出る傾向にある。わたくしの酒友も、この香りが大好きの熱烈与右衛門ファンだ。さて、今回の酒はどうか。

 瓶のラベルが星空。いかにも夏酒だ。さていただいてみる。

 与右衛門らしい酸が十分出ている。ピリ感がありフレッシュ。酸だけでなく甘旨みもあり、味に幅がある。しかし、重くはなく軽快感がある。これは旨い。酸が出て軽快感があるので、飲み飽きしないタイプ。食中酒として、ずっと飲み続けられそうだ。与右衛門特有のセメダイン似香は出ていない。

 メリハリがあり、パンチがある。でも、ほかの「与右衛門レギュラー軍団」に比べると、かなり大人しい。やさしくて、さっぱり、穏やかですらある。そんなことを口にしたら、店主は「夏酒ですからね~♪」。

 瓶の裏ラベルの表示は「原料米 岩手県産 吟ぎんが100%使用、アルコール分14.0度以上15.0度未満、精米歩合50%、日本酒度+6、アミノ酸度0.6、酸度1.8、使用酵母 協会7号、醪日数24日」。原酒にしてはアルコール分を低く抑えている。これが高い技術のあらわれであり、与右衛門にとっての夏酒なのだろう。

「吟ぎんが」は岩手県農業研究センター銘柄米開発研究室が1991年、母「出羽燦々」(その母は「美山錦」、その父は「華吹雪」)と父「秋田酒49号」を交配、育成と選抜を繰り返しながら品種を固定、1999年に命名、2002年に種苗法登録された酒造好適米。

【備考】タイトルは「与右衛門」と書きましたが、「与」は、正しくは、偏が酉、旁(つくり)が与。酒のラベルの字をごらんください。パソコンにこの字が無いため、暫定的に「与右衛門」と記述しました。蔵の19代当主の名にちなんだ酒名だそうです。

酒蛙

関連記事 一覧へ