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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3505】天満月 純米大吟醸(あまみつき)【静岡県】

2018.8.5 0:13
静岡県静岡市 神沢川酒造場
静岡県静岡市 神沢川酒造場

【日本酒研究会月例会 全4回の②】

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。今回は、異動でこの地を転出する2人と、転入する2人が参加、計8人でにぎやかに会を開いた。

 店主が「九頭龍 純米 夏しぼり」(当連載【2530】)「山男山 純米吟醸」に続いて持ってきたのは「天満月 純米大吟醸」だった。「天満月」という酒名を見たのは初めて。おやっ?とおもい、蔵名を見たら「なあんだ、『正雪』の蔵だよ」。「正雪」は飲む機会が多く、当連載でこれまで10種類を取り上げている。全般に、すっきりしたきれいな酒というイメージを持っている。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「さらり、すっきりしたタッチ。甘みを感じる」
 F 「これまでの3種類は、酒質が同じような系統ですね」
 酒蛙「同じ蔵の酒『正雪』と同じように、きれいな酒だ」
 SI「これまでの3種類の中で、これがいい」
 酒蛙「うん、これまでの3種類は似ているけど、この酒は甘みが出ている。やわらかな調子で、バナナ香がすこしある。甘みが出ているけどキレが良い。上品感がある」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。併せて、酒名「天満月」の説明もしている。

「純米大吟醸天満月は酒母米、麹米に兵庫県産山田錦35%精米を、掛米に岩手県産吟ぎんが50%精米を使用し、じっくりと仕込みました。杯に浮かぶ満月のような深く澄んだ味わいをお楽しみ頂けます。生酒のまま瓶詰し、パストライザー・クーラーで瓶燗火入と急速冷却を行いました」

 裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、日本酒度+4、酸度1.3、アルコール分15度以上16度未満」。

 ラベルの紹介文によると、使用米は「山田錦」と「吟ぎんが」。「吟ぎんが」は岩手県農業研究センター銘柄米開発研究室が1991年、母「出羽燦々」(その母は「美山錦」、その父は「華吹雪」)と父「秋田酒49号」を交配、育成と選抜を繰り返しながら品種を固定、1999年に命名、2002年に種苗法登録された酒造好適米。

 酒名「正雪」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「大正元年(1912年)、現在蔵のある場所より北の山間で林業と養蚕業を営んでいた望月金蔵・由松(よしまつ)親子が酒好きの熱意から酒造業を創業しました。酒づくりを始めるにあたり、酒に合う水を探し求め、神沢川の傍に蔵を構えます。研鑽の末生まれた酒は、時代に逆らっても正直に生きた地元生まれの兵法家・由井正雪にあやかり『正雪』と命名しました」

 ウィキペディアなどによると、正雪は現在の静岡県静岡市清水区由比に生まれた江戸時代初期の軍学者で、江戸に開いた道場は評判を呼び、3,000人もの門下生を抱えた、という。慶安4年(1651年)、幕府政策への批判と浪人の救済を掲げ、浪人を集めてクーデターを計画したが、仲間の裏切りで未遂に終わった。そして追っ手に囲まれ、自刃した、という。この「慶安の変」は、4代将軍徳川家綱以降の政治が、武断政策から文治主義へ政策を転換することになったきっかけとなり、幕府政策上、重要な事件として位置づけられている、という。

 360年以上前の歴史的人物の名が「酒名」に使われている、ということは、由井正雪は今もなお地元の英雄であることを物語っている、といえそうだ。

酒蛙

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