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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3464】播州一献 純米吟醸 愛山 生酒 澱絡み(ばんしゅういっこん)【兵庫県】

2018.7.6 0:03
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造

【B居酒屋にて 全6回の②】

 会社から帰り、ふらりと近くのB居酒屋へ。2週間ほど前に訪れたとき、店長が「そろそろ、酒の入れ替えをしようかな」と言っていたのをおもいだし、暖簾をくぐったのだった。まだ飲んだことのない酒が数本入っており、冷蔵庫の中に鎮座していた。

 まず、最初にいただいたのは「まんさくの花 巡米吟醸 愛山 28BY」。続いていただいたのは、「播州一献 純米吟醸 愛山 生酒 澱絡み」だった。店長は「『愛山』をそろえてみました」となかなかマニアックなことを言う。ならば、全部飲んでみようではないか! となんだか戦闘態勢モードだ。

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。しかし、希少品種ゆえ近年、人気が高まりつつあり、「愛山」を使う蔵が急上昇中だ。

 さて、今回の酒は以前に飲んだ「播州一献 純米吟醸 愛山 生酒」(当連載【2591】)と酷似している。おりがらみか否か、の違いだけだ。さて、いただいてみる。

 酸が立ち、酸は旨みを伴う。これが第一印象。これも直前に飲んだ「まんさくの花」同様、ジューシー。酸が、やんちゃで楽しい。余韻は軽い苦み。ふくよか、やわらか、甘みと旨みもよく出ている。ひとことで言えば旨口酸味酒。厚みは適度で重くはない。直前に飲んだ「まんさくの花」は、どうだ参った、というような感じの旨さだったが、今回の酒はさりげなく旨い、美味しい。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「播州産愛山を低温発酵にて醸し、フレッシュな澱を絡ませた限定出荷の中。滑らかな舌触りが夏場に爽やかに感じられる一品です。よく冷やしてお召し上がり下さい」

 裏ラベルの表示は「原料米 播州産愛山、アルコール分16度、精米歩合50%、醸造責任者 壷阪雄一」。

 酒名「播州一献」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「播州一献(ばんしゅういっこん)とは、『播州地域(兵庫県南西部)の豊かな自然の恩恵を受け、作られたお米、播州の水を使い、地酒本来の良さを大切に手間・ひまを惜しまずに醸したお酒をどうぞ』との思いから名付けられました。『いっこん』とは、よく時代劇とかで『ささ、一献』って言っているの見かけたことはないでしょうか? 『いっぱいのお酒』という意味もあります。(三省堂国語辞典より) なので、播州一献とは、”播州産の米と水を使った播州のお酒を、一献どうぞ”という意味です」

酒蛙

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